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【文章の書き方】なぜ文章のパワーをモノにしたいのか
●文章の真のパワーをモノにしないともったいない
新潟市でずっと「文章の書き方講座」をおこなっていますが、現在はオンラインで実施しています。
ご自宅でじっくり受講なさってください。
次回は2020年11月28日(土)です。
【オンライン文章講座】(秋の講座)
日時:2020年11月28日(土)15:00~20:00頃
料金:10,000円(税込)
会場:自宅でオンライン受講
講師:齋藤匡章(言語戦略研究所)
内容:人を動かす文章の書き方
文章力は、一生にわたって役に立つ技能です。誰でもタダで平等に使える「言葉」という道具ですが、だからこそ一人一人の言葉の力によって差がつきます。仕事で言葉を使う場面が多い方は、この講座で言語能力を高めて、周囲のみなさまのお役に立ってあげてください。
※お申込みは https://fermata-cafe.com/fer/lesson/seasonal/ からどうぞ
文章もしゃべりも歌も、道具は「言葉」であり、この道具を使いこなすには「練習」が要ります。

料理に使う包丁だって、事務作業に使うパソコンだって、道具はみんな練習でうまくなりますよね。
逆にいうと、「練習をしても上達しない人」はいません。もちろん「適切な練習」という条件付きではありますが……。
心理言語学というマニアックな学問の視点から、あなたに「文章の力」を身につけてほしい、文章力を身につけないとあまりにもったいない理由があります。
それは「言葉には、仕入れも設備投資も要らない」という、おそらくほかにはない強烈な優位性があるからです。
●「仕入れも設備投資も要らない」がなぜ強烈か
「いつか自分で仕事をしたい」という方は大勢います。「好きなことをして食べていきたい」という夢ですね。
ところが、そう甘くない現実も知っている。なにしろ、スタートするのがそもそも難しい。
知識や技術や勇気だけでなく、お金も要る。
あなたがもし、何か商品やサービスを提供しようと思ったら、なんらかの仕入れや設備投資が必要となるでしょう。
これがかなりの額になるわけです。
食べ物を売るには、食材を仕入れる必要がある。陶器を焼いて売るにも、粘土を仕入れる必要がある。
100円を手にするために、30円や50円を先に払わなければならない。しかもその30円なり50円なりが、ちゃんと100円になる保証はない。売れなければ、ゼロ。
シビアですね。
それだけではありません。飲食店を始めるには小規模でも数百万円の機器が要るし、陶器を焼く窯も、電気式の機械で安く抑えたとしても100万円近く。しかも業務用ではないから負荷がかかるとすぐに故障して余計に高くつく。

美容室は仕入れが少ないほうだと聞きましたが、それでも開業時の設備投資は機械設備だけで数百万円。
建物から建てたら数千万円です。テナントに入っても内装工事に数百万円はかかる。
スタートするだけで、ですよ。
オフィス用に物件を借りるとしたら、ただ契約するだけで数十~数百万円が必要です。
商売って、そういうものですよね。
自分で開業すると、そんなシビアな現実に直面することになりますが、会社に雇われて給料をもらっている人が「自分で仕事を始めたい」と思った時、そのあたりの認識が甘くなりがちなのでは、と感じています。
●「能力さえあれば好きに使っていい」という特殊
あなたはもう、「そう甘くない」と知っているかもしれません。
そう、甘いわけがない。
だとしたら、「仕入れも設備投資も要らない」という言葉の優位性がどれほど強烈であり、どれほど羨望の的であり、どれほどありがたいかがよく理解できるでしょう。
言葉そのものを売るのでなくても、言葉を使って何かを売ろうとしたとき、すでにあなたには「言葉」があります。
言葉を使うのに経費はかかりません。家賃も電気代も仕入れ担当者の人件費も宣伝広告費も、何も要らない。
「言葉」というメディアが持つ、きわめて特殊な性質です。

紙と鉛筆さえあればいい。
スマホでもパソコンでも、文章が書ける。
なんなら口で言って書き取ってもらってもいい。
声で録音しておいて、誰かに文字にしてもらってもいい。
そんな自由度の高い材料が、ほかにありますか?
陶器を焼くには、やっぱり粘土でなければいけない。「なんなら小麦粉でも」というわけにはいきません。
「蜂蜜を使うのに、純粋はちみつを仕入れたいが、高いから純粋はあきらめるか」という判断をするかもしれません。
しかし言葉なら、そんな判断は要らない。どんな言葉も、無料です。
しかも、すでに持っている。「どう使うか」の能力さえあれば、好きなものを好きなだけ使っていい。
こんな道具がほかにあるでしょうか。
それが言葉です。
言語能力です。
文章力です。
そこにある道具と材料を、タダで好きなように使って、いくらでも「価値」を作っていい。
とはいえ誰にでも「価値」が作れるわけではない。道具と材料を使いこなす能力があれば、の話。
料理に喩えるなら、調理器具や食材をなんでも好きなだけ使わせてくれて、しかも作った料理は自分で好きなように売っていい。
まるで「錬金術」ですね。
それが文章力です。
「文章力を身につけないとあまりにもったいない」理由がお分かりいただけたでしょうか。
【オンライン文章講座】(秋の講座)
日時:2020年11月28日(土)15:00~20:00頃
料金:10,000円(税込)
会場:自宅でオンライン受講
講師:齋藤匡章(言語戦略研究所)
内容:人を動かす文章の書き方
文章力は、一生にわたって役に立つ技能です。誰でもタダで平等に使える「言葉」という道具ですが、だからこそ一人一人の言葉の力によって差がつきます。仕事で言葉を使う場面が多い方は、この講座で言語能力を高めて、周囲のみなさまのお役に立ってあげてください。
※お申込みは https://fermata-cafe.com/fer/lesson/seasonal/ からどうぞ
* * *
ウェブ:https://wsi-net.org/
メール:tenor.saito@gmail.com
通る声、届く声の出し方の本
新潟市でウクレレ弾き語りを使った社会人向け発声話し方スクール
なぜ「人を動かす文章」にならないのか(文章の書き方)
●必要な要素を足さず、不要な要素を強めてしまう
「文章の書き方講座」受講者のみなさんから、文章に関するお悩みが届きます。
昔から文章に苦手意識があって、「なぜ文章がうまくならないか」とずっと悩んできた方もいますね。
こんなメールが届きました。
もうかれこれ10年も仕事で文章を書いているのに、
上司には叱られるわ、集客の反応は薄いわで、落ち込みます。
即席に効果の上がる方法は無いものでしょうか。
すみません。無いのはわかっているのですが……。
さすがは毎日書き続けているだけのことはあって、お手軽な方法がないことを知っていますね。

まあ、文章の力がガラリと変わるコツがないこともないのですが、ベースとなる「文章力」(基礎体力)が高まってからでないと、効果は上がりません。
上級者が受講する音楽のマスタークラスをイメージすると分かるでしょう。上級者は先生のたった一言で「あっ、分かった!」がありうる。長年感じていた「天井」を一瞬で突き抜けてしまうこともある。
ところが入門者が同じ指導を受けても、ベースができていないから、コツを聞いてもピンとこないし、技も使いこなせない。
「なぜ文章がうまくならないのか」というお悩みに対して、ひとつの答えを提示します。
それは、「必要な要素を足さず、不要な要素を強めてしまう」からです。
ほら、もしかしたらこの一言で、「あっ!」と気づいたかもしれません。
効果的な文章には、必要条件があります。必要条件を満たしていないと、文章の目的を達成することができません。
その条件を、仮に「A、B、C」とします。
この3つの条件を適切に満たしているのが、力のある文章です。
ところが、何かが不足していたり過剰だったりすると、文章には力がなくなり、「効果のない文章」になってしまいます。
不足とは、たとえば来店を促すチラシに「地図」がないようなもの。見た人はどうしたらいいか分かりません。
過剰とはたとえば、着付け教室のチラシに「教室の畳のイグサの品質や産地」から「教室の所在地の歴史」「講師が生まれた日に関する母親の思い出話」まで、講師のこだわりでなんでもかんでも記載するようなこと。
「知ってほしい」気持ちが強すぎると、そうなりがちです。
不足や過剰を簡単に記号で表すと、
(1)A、B
(2)A、B×2、C
(3)A、B、C、D
こんな感じでしょうか。
(1)は必要な「C」が欠けている。
(2)は「B」を過剰に語っている。
(3)は余分な「D」が全体の効果を下げてしまう。
ここで問題です。
(1)の人は、何をしたら文章が良くなるでしょうか。(2)の人は? (3)の人は?
●「言語行為」は会話も文章も同じ
答えは簡単ですね。
(1)の人は、Cを足せばいい。
(2)はBを適度なレベルに抑えればいい。
(3)はDを取り除けばいい。
ところが、問題はここからなんです。
多くの人の傾向ではあるのですが、「必要なことをやらず、必要でないことをやる」せいで、ちっとも「A、B、C」にならない。
文章や言葉に対する意識から変えないと、
(1)の人は「Cは好きではない」などと言いながら放置したままだし、
(2)の人は「Bが大事だと思うんです」とさらに「B×3」にしてしまう。
(3)の人は「Dにも興味を持つ人がいるかもしれないので」と相変わらず余計なことまで書いてしまう。
※ここ、すごく大事なところ!
だから、ますます「効果の低い文章」になっていくのです。
頭で理屈っぽく考えて納得しながら書こうとしているかぎり、「今までと同じ結論」しか出せないので、結局は「似たような文章の域を脱することができない」のです。

会話だろうとスピーチだろうと文章だろうと、すべての「言語行為」について言えることですね。
この流れを変えるのが、文章の書き方講座です。
【オンライン文章講座】(秋の講座)
日時:2020年11月28日(土)15:00~20:00頃
料金:10,000円(税込)
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通る声、届く声の出し方の本
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リアリティーのある文章の書き方
●自分の体験をどう入れる?
人を動かす文章を書くには、リアリティーが必要です。

文章の型を守り、たとえばPREP法などに当てはめて書いたとしても、読み手が「嘘くさい」と感じたら「人を動かす文章」にはなりません。
そもそも読み続けてもらえませんよね。
自分の体験など具体例、実例などを詳細に書くことは、効果的です。
とはいえ、いくらでも詳しく書けばいいかというと、そうではない。
加減が肝心です。
さすがは「文章の書き方講座」で学んでいるみなさんだけに、そういうバランスや手加減について気にしているようで、こんなメールが届きました。
リアリティーを高めるために、「自分の体験」を入れたのですが、
「どの程度詳細に描くか」で悩んでいます。あまり細かく描くと、読み手が共感できない部分も出て来るかも、
「私は、そう感じないな」と読む気持ちが離れてしまうかも、と感じます。具体的には、「指名されたとたん、冷や汗が出てきて……」
「笑顔でいようとしているのに、緊張で表情が引きつってしまい、
相手に違和感や緊張感を与えてしまっている様子に、
さらに顔が引きつってしまい……」などここまで書くと、
読み手に「私は、それはない」と感じさせて
「自分のこと」と感じさせない可能性もあるかな、と思いました。
いいですねえ。とっても大事なことです。
何が大事かって、こうして「読み手の意識を推測しながら書く」こと。
なかなかこの意識が持てません。「体験を入れてみよう」と言われたら、とりあえず体験を書いて「ちゃんと書きました」と白か黒かで決めてしまう。
でも、大事なのは「書いたかどうか」より「どう書いたか」です。しかもそれは読み手の意識を推測しないとうまくいかない。
どうしても「自分にとって最もしっくりくる程度」で書いてしまうんですよね。
自分の関心事は、やたらとディテールが細かい。さほど関心がない事柄については、白か黒かでざっくりバッサリ。
正解は読み手や目的によって決まります。
細かすぎても粗すぎても、うまくない。一本の文章の中でも、「書く目的」によってどこを細かく、どこはざっくりするのが適切かが決まってきます。
一律に「このレベルの詳細度が正解」とは決められない、ということですね。
書いている文章を読みながら、「この流れでこの文を読んだ相手は、何を考え、感じるかな」と推測しながら、詳細度を工夫していきましょう。
「ここで読み手は何を知りたがるかな」「ここでどんな相づちを打つかな」と推測しながら、その反応に応えながら書き進める。
すなわち、「質問ライティング」ですね。
●読み手の意識を決めつけない
ただし、「読み手の意識を決めつけない」態度が大切です。
気にはしても、決めつけない。
文章だけでなく、コミュニケーション全般の原則と心得ましょう。
小説で言う「神の視点」が入ると、途端にリアリティーが消え、違和感を与えてしまいます。
「神の視点」とは、特定の登場人物の視点にとどまらない、「神様だからわかるんだよ」と開き直ったような表現のこと。
たとえば、こんな書き方です。

サルオは初ステージの緊張で、今すぐこの場から逃げ出したかった。
「大丈夫よサルオさん。私なんて違う曲を演奏したけど、なんとかなったから」
くま子はサルオを励ますことで、自分も少しは気が紛れるのを感じた。
サルオとくま子、それぞれ本人にしかわからないはずの内面を、断定して書いていますね。
サルオが本当に「逃げ出したかった」かどうかを知っているのは、サルオ本人だけ。だから、サルオの視点で書いている文章であれば、第1文は何も問題ありません。
ところが、サルオの視点で書いている文章なのであれば、最後の「(くま子は)……感じた」はおかしいですね。
こちらは、くま子にしかわからない意識内容なのに、事実のように書いている。つまり、くま子の視点に移ってしまっている。
つまりは、サルオの内面もくま子の内面も同時に知り得る人物が書いていることになる。そんな人物は存在しえないのだから、いるとしたら「神様くらいじゃない?」というのが、「神の視点」です。
神の視点が入った途端、「創作臭くなる」のがわかりますか?
自分の体験を事実として書いていたはずなのに、視点が自分ではないところに置かれたら、フィクションになってしまいます。
●他人の内面をうかつに描写しない
他人の意識内容を推測して表現すると、「神の視点」になってしまうことがあります。
しかも、書き手も自覚しないくらいスルリと忍び込んでくるので、注意が必要です。
たとえば、先ほど引用したメールでいうと、
相手に違和感や緊張感を与えてしまっている様子に、
このあたりは、ちょっとリスキーですね。
相手が違和感を覚えたり緊張したりしているかどうかは、相手にしかわからないはず。「様子」という言葉から「客観的にそのように見えた」という意味合いに多少は救われているものの、「本当に緊張していたの? 違和感はどこからわかった?」とツッコミを入れる余地がある。
「イライラしていた」「話しかけないでオーラを発していた」といった表現も、厳密に考えたら、おかしい。
こういうところにまずは「気づく」ことで、文章の精度が上がります。
「話しかけないでオーラを出している人っているよね」「わかる~、いるいる」と同調しているだけでは、精度の高い文章は書けません。
「真剣に仕事をしているだけであって、話しかけられるのは大歓迎」かもしれないのに、勝手に「他人を拒絶している気難しい人」判定は失礼ですよね。
「貧乏ゆすりをしながら、時おり机を指でトントン叩いた」は客観的な表現ですが、ここから「いや、明らかにイライラしてるでしょ」と決めつけるのは、別の話。
いったん立ち止まって、「この表現で適切かな」と気にする癖をつけましょう。
「客観的な描写」を心がけると、真のリアリティーが出てきます。

文章だけでなく、普段の会話から、気にするといいですよ。
「いきなり怒られた」
「逆ギレされて困惑」
「自分のことしか考えてないよね」
など、ネガティブ表現は特に「他人の内面を勝手に表現」しがちです。
「○○と注意された」
「注意したら、○○と反論された」
「私のことを考えてくれていないのかな、と思っちゃった」
このように、「客観的な描写」「内面を書くとしたら自分のこと」を心がけましょう。
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人を動かす文章の書き方(オンライン文章の書き方講座)
●人を動かすパワーを高めよう
受講者のみなさんから届いた文章を読んでいて、講師の私が楽しませていただいています。
今回のテーマは「トレーニングを勧める」でしたね。みなさんそれぞれに思い入れのあるトレーニングを取り上げたり、専門性の高い立場からの見解が披露されていたりと、読んでいて実に楽しい。
ぜひこの調子で有益な情報発信をしたり、文章力を仕事に活かしたりしていってください。
今日はあなたの文章の「人を動かす」力を高めるポイントを2つ取り上げます。
現状のご自分の文章を見直して、さらにパワーアップさせてみましょう。
2つのポイントとは、「直接的なメリットが先」と「スパッと言い切る」です。
●直接的なメリットが先
まず、「直接的なメリット」に言及できていますか?
講座の中で「メリットの先」「メリットとベネフィット」「読み手の大切な人にとってのメリット」などをお伝えしたせいか、逆に「直接的なメリット」が弱まってしまったようです。
直接的なメリットは、先に、明確に、言葉にしましょう。
たとえば、
「四股を踏む」→「足腰が強くなって何歳になっても健康で歩ける」→「介護要らずで家族が幸せ」
であれば、「足腰が強くなって何歳になっても健康で歩ける」が直接的なメリットです。
ここが曖昧なまま「四股を習慣にすることで、家族に世話をかけない老後が……」と続け、さらに介護がどんなに大変か、生活に負担をかけるかといった話を展開しても、文章に人を動かす力が出ません。
直接的なメリットを明確に伝えてあると、さらにその先のメリット(いわゆるベネフィット)や、大切な人にとってのメリットを読んだときに、意識の中で「歩けるって大事だな」「だから足腰が大事なんだな」「だから四股なんだな」とつながりが強化され、行動を促します。
……と、実際にはメリットがしっかり書けていた方の文章から題材をお借りしました。
英会話の先生なら、「英会話ができるようになったら、どんな良いことがあるか」をハッキリ伝える。
それをせずに「こういう特別なメソッドだから英会話がマスターできます」の根拠を並べても、読み手はなかなか動いてくれません。
もっとも、直接的なメリットが明白かつ異論がないものであれば、「だから、できる」で足りるので(受験業界で「合格できる!」など)、自分自身のケースをしっかり考える必要があります。
文章は、だから奥が深い。コミュニケーションですからね。この言い方ならいつでもどこでも完璧、なんて型はありません。
●スパッと言い切る
次のコツは、「言い切る」。
スパッと言い切りましょう。
日本人は控えめで、謙虚を美徳と考える人が多いので、はっきりスパッと言い切らない、歯切れの良くない文章が多く見られます。
勇気をもって言い切りましょう。
たとえば、「○○をすれば、シフォンケーキが上手に膨らみます」とコツを教えるとします。
この時、
「○○をすると、私の場合はうまくいくことが多いので、よかったら試してみてください。ほかにも良い方法はあると思いますが、わりと成功率は高いです。水分量と温度設定も関係するので、一言では言い切れないし、ネットで見たら逆に○○は良くないという説もあるそうなので、まあ最後は自己責任ですよね」
こんな書き方では、人は動かないでしょう。
「シフォンケーキが膨らまなくて悩んでいる方、100%膨らむコツを教えます。それは、○○です」
と言い切ると、パワーが高まります。
プロなのですから、全責任を負う覚悟で、言い切りましょう。
「100歳まで健康で生きるために」という内容で書いてくださった文章から、お借りしてみます。
「何がその差を作ったのでしょうか? 様々な要因はありますが、ウォーキングでも水泳でも構いませんが、何らかの運動習慣、つまりトレーニングをしていたかどうかが、そのひとつであることは間違いなさそうです」
・様々な要因はありますが
・~でも~でも構いませんが
・何らかの
・そのひとつ
このような表現が、たいへん控えめで謙虚です。学会の発表なら、このような言い回しが正確で、敵を作らなくて、厳しいツッコミを回避できるので多用されますが、「人を動かす」ための文章としては、厳しいツッコミを覚悟の上でスパッと言い切るほうがいい。
「何がその差を作ったのでしょうか? 答えはひとつ、運動です」
このくらいにシンプルに言い切ってしまうほうが、読み手にスパッと入っていきます。
以上、文章の「人を動かす力」を高めるポイントを2つお伝えしました。
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自分の文章を客観的に読む方法
●他人のことはまる見え
何かを改善したいなら、「良し悪しがわかる」必要があります。
ところが、「自分のことが一番わからない」。
「わかってないのは本人ばかり」なんて言葉もあります。
逆に他人のことは、良くも悪くも、まる見えなんですよね。
良く見える場合は「隣の芝生」になるし、悪く見える場合は「あら探し」になる。
客観視の特徴ですね、まる見え。
だから、他人の文章を読むと、「いいなあ」と感じたり、「ちょっと読みづらい」と感じたりと、評価できてしまうものです。
ところが、自分の文章となると、途端に「これでいいのか」「ダメだとしたら、どこが?」と、さっぱり判断がつかない。
そこで今日は、自分の文章を客観的に読む方法についてお話しします。
●「時間を置く」という普遍的な処方箋
自分の文章を客観視しにくい原因は、主に2つあります。
まず、自分の「今の気分」と文章がリンクしている、という原因。
カーッと熱くなっている時に熱い文章を書き連ね、熱い気持ちのまま直後に読み直したら、まさに気分をそのまま表現した文章なのだから、「よくわかる」「気持ちが伝わってくる」「引き込まれる」文章に感じます。
しかし、熱い気持ちで書いた文章を、翌日に冷静になってから読むと、「なんだこの、熱くて暴走している文章は」と恥ずかしくなる。
読み手は書き手と同じ気分で読むわけではありません。むしろ冷静に、落ち着いて、客観的に読む「翌日の自分」に近いと思ったほうがいい。
企画書でもラブレターでも、一晩寝かせてから送れという話を聞いたことはありませんか?
本の原稿も同じです。書いた直後は「最高の出来ばえ」なんて舞い上がっていても(その時点では最高のつもりで送るわけです)、ゲラ刷りが出版社から戻ってくると、「な、なんだこの独りよがりの文章は」と呆れながら書き直していくことになる。
1週間もあいていれば、もはや他人の目ですからね。
時間を置いてから読むだけで、文章の粗がよく見えます。
●書き手は多くを知っている
自分の文章を客観視しにくい2つ目の原因は、「書き手は多くを知っている」。
文章を書くということは、そのテーマや事柄に関して読み手よりも多くを知っているはずです。
先生が生徒に、講師が受講者に向けて書く場合はもちろん、部下が上司に報告書を書く場合だって同じです。
自分が知っていることは「当たり前」になってしまうから、書き方や話し方が不親切、不十分になりやすい。
先ほど「ゲラ刷り」と言いましたが、出版社にとっては当たり前の言葉が、一般の人たちにはイマイチ通じないかもしれません。
実際私も昔、「ゲラが上がってきたので」と話す編集者に「ゲラって何ですか?」と尋ねたことがあります。
「ああ、ゲラというのはですね、校正のために原稿を印刷したもので、こちらです」と現物を出して説明してくれましたが、ゲラが「当たり前の語彙」になっている編集者にとっては、予想外の反応だったでしょう。
「いきなり言われても、わからないですよね」とフォローまでしてくれました。
目の前に相手がいるなら、こうして質問しながら調整していけます。しかし文章はそうはいかないので、読み手は「なんだかよくわからない」と感じたら読むのをやめてしまいます。
自分だけがわかっているのかもしれません。
相手の頭の中を想像しながら、「本当にこれで伝わるかな」といつも自問しながら書きましょう。
●視点を手に入れるのが前提
自分の文章を客観視するコツについてお話してきました。
とはいえ、時間を置いたとしても、相手の頭の中を想像したとしても、自分の中に「文章の書き方」の原則が入っていなかったら、判断できません。
文章講座で勉強した型やポイントをしっかり復習して、使いこなせるまで練習もして、文章の原則をマスターしておきましょう。
* * *
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新潟市でランチやパフェのテイクアウト