症状別ボイスカウンセリング……低くて暗い声

【低くて暗い声】

●「気持ち高め」で話すトレーニングをしよう

声が相手まで届いたとしても、その声が低くて暗かったら、快適なコミュニケーションになりません。

なぜ声が高めのほうがコミュニケーションがうまくいくのか。

テンションの高さと声の高さが比例するからです。

ふだんは落ち着きのある理性的な人でも、好きなことを熱く語るときは声が高めになります。

どんなに抑えを利かそうとしても、ところどころに無意識の盛り上がりがどうしても出てしまう。

たとえば私は砂浜からの投げ釣りでシロギスを釣るのが大好きなので、魚が掛かったときに釣竿に伝わってくるブルブルブルッという振動の興奮を、低くて暗い声で語りきる自信はありません。

私にキス釣りを教えてくれた指揮者も、やはり同様でした。「あのブルブルはたまらないですね」と話す私に被せるように「ブルブルどころじゃねえだろう。ドーンだろ、ドーン!」と立ち上がらんばかりの勢いで、音楽家らしい情熱をもって、同じ話を何度でも飽きさせることなく語りました。

つまりは、そういうことなんですよね。楽しくてワクワクすれば、声は自然に高まる。

声が低くて暗いということは、気持ちが高まっていない証拠。だからコミュニケーションがどんよりしてしまう。

何かを提案された人が「そうなんですか」と答えたとして、その声が低くて暗かったら乗り気ではなく、高めだったら乗り気になっている、と判断できます。

自分の話し声を低くて暗いと感じるなら、ピッチ(音高)を高めて話すトレーニングをしましょう。

 

●意識的に高めて話す「声の筋トレ」

「低い声を直したい」というご相談はよくあるのですが、意外なことに「高めで話す努力」をしている人は少ない。

おもしろいですよね。笑顔が少ないと自覚したら笑おうとするだろうし、変な口癖に気づいたら減らそうとするでしょう。

なのに、「声が低くて暗い」と自覚したり指摘されたりしても、「高めのまま話し続ける努力」をしようとしない。

あたかも、会話のピッチは自分の意思ではなく勝手に決まってしまうと信じているかのように。

だから、魔法のようなアドバイスで声の高さがスパッと変わると期待しているのかもしれません。

しかし、そうはいきません。まずは意識的に高めてみてください。

「声が低い」という悩みに対して「高く出して」という回答では、答えになっていないように思うかもしれませんが、「意識的なピッチのコントロール」が入り口です。

大事なのは、一瞬だけ声を高めるのではなく、ずっと高めをキープして話し続けること。

しばらく沈黙のインターバルを挟んでも、次回に話し出すときはまた高めでスタートする。

ピッチを高めるには、声帯を引っ張る筋肉を鍛えなければなりません。

筋肉を甘やかしているから、声が低くて暗いのです。

筋トレだと思って、高めで話し続けてみてください。

甲高いほど張り上げる必要はありません。「気持ち高め」で十分です。

「気持ち高め」というキーワードを覚えておきましょう。

聞き取りやすい話し方にもなるので、一石二鳥ですよ。

* * *

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症状別ボイスカウンセリング……弱々しい声

【弱々しい声】

朗読トレーニング、していますか?

話し声を良くするには、「歌→朗読」というトレーニングプロセスが欠かせません。

今は課題の『走れメロス』(太宰治)で朗読トレーニングを十分おこないましょう。

たまに「音痴なので歌はやらずに話し声を良くしたい」というご相談がありますが、「音痴を直すために歌う」のではないので、心配は要りませんよ。

歌トレーニングの目的は、「発声時の身体の使い方を覚え、発声能力を拡張する」こと。

歌わずに話し声のみでトレーニングした場合、一時的に声が変わりますが、根本的な発声能力が高まらないので、すぐに限界がきます。

もしかしたらあなたにも、以前に話し声の改善にトライして、一瞬変わったけれどすぐに戻り、結局何も変わらなかった経験があるかもしれません。

話術で聴かせる落語家だって、昔は「唄い」の修業もやらされました。

最近はしゃべりしかやらない落語家も増えているそうですが、唄いを修業した落語家は「声の力」が圧倒的です。

アナウンサーや講師など、話し声を仕事道具とする方は、ぜひとも古典歌曲による「発声能力の拡張」を基礎トレーニングとしてしっかりおこなってください。

「あめんぼ赤いな あいうえお」や「外郎売」はその後でも構いません。

 

●弱い声を改善するには

発声能力がぐっと高まったら、「話し声」への適用に入ります。

それが「朗読トレーニング」です。

歌で拡張した部分を話し声に使えるようにトレーニングし、また歌で発声能力を伸ばし、話し声に適用し──この繰り返しで「声の力」を高めていくのです。

適用がスムーズにいかないと、良い話し声になりません。

流暢にしゃべってはいても、弱い声、固い声、きつい声、暗い声など、声の質が良くないのは、「話し声への適用」がうまくいっていないか、そもそも歌トレーニングをサボっているか、です。

これから時々この場で、「症状別ボイスカウンセリング」をしようかと思います。

読むだけで声を変えるのは難しいでしょうが、方法を理解した上でレッスンに臨めば、レッスン効果が高まるでしょう。

今日は「弱い声」を取り上げます。

・か細くて聞こえない
・「えっ?」と聞き返される
・店員さんを呼んでも気づいてもらえない

こういった声の症状に悩んでいるなら、まずは「支え」をチェックしましょう。

つまりは横隔膜の使い方です。

 

●壁押しトレーニングからスタート

声があまりに弱く、ふわふわして芯がないなら、「壁押しトレーニング」をします。

トレーニングといっても、壁を押し続ける筋トレではありません。

「横隔膜を効果的に使ったときの感覚」を覚えるのが目的です。

「あ~~~」と声を伸ばしながら、両手で壁をぐっと押すと、押したときだけ声に芯が入るでしょう。

断続的にぐっ、ぐっ、ぐっと繰り返すと、分かりやすいかもしれません。

押したときだけアクセントを付けたように「あ~~あ~~あ~~」と強まるでしょう。

でも、押していないときはまた声が弱まってしまう。

今度は壁を押さずに、「押したときのお腹の感覚」だけ再現しながら、声を出してみてください。

ただし、息が勢いよく出て一瞬で終わってしまわないように、10秒ぐらいは「あ~~~~」と伸ばせるように出します。

壁押しでアクセントが付いたときの声のまま10秒伸ばせたら、あなたの声には芯が入っているはず。

そのときの体の使い方をキープしながら、「メロスは激怒した」を練習してください。

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『人は見た目が9割』とは……見た目に「声」が含まれる

●人は声が4割

『人は見た目が9割』という本がベストセラーになったことがありました。

タイトルだけ見てショックを受けたり、「やっぱりそうなの?」とガッカリしたりした人も多いと聞きます。

それどころか、タイトルに反発してか、話題にはしても読みはしなかった、という人がまわりに何人もいた、とも聞きました。

このタイトルの根拠を知れば、「見た目が9割」とだけ言われるより納得しやすいのではないでしょうか。

このタイトルは、米国の心理学者アルバート・メラビアン博士による、「人の第一印象の55%が外見、38%が声、7%が話の内容で決まる」という説、「メラビアンの法則」を根拠にしています。

「えっ、だったら見た目は55%なのでは?」と思ったでしょう。

そうなんです。つまり、タイトルの主旨は、「どんなにイイ話をしたとしても、内容が与える印象はわずか7%、つまり1割にも満たない。残りの9割は外見や話し方(声を含む)で決まる」ということなのです。

そう説明されたら、「見た目がすべてなの!?」なんてショックを受けることもなく、「まあそんなものかもしれない」と思えるのではありませんか?

それにしても、「見た目が9割」の中に「声」まで含まれていたとは、「そんなタイトルの付け方、ずる~い」と言いたくなりますが、出版社の勝利でしょうね。

 

●大事な商談があるなら声をチェック

ここで注目したいのは、「声」の影響の大きさです。

これから大事な商談、失敗できないデートがあるなら、声をチェックしてから出かけましょう。

プレゼン資料やセールストーク(内容なので7%)より、あなたの第一印象を左右するのですから。

見た目は誰でも気にします。大事な商談にジーパンTシャツで顔を出す人はいない。ビーチサンダルで行く人もいない。

仏頂面より笑顔のほうが感じがいいと知っているから、「真剣な顔か、笑顔のどちらか」で話すはずです。

しかし、「声」そのものに気を配っていますか?

いま出した自分の声が、どんなふうに相手に聞こえたか、気にしていますか?

・声が高すぎたり低すぎたりしなかったか
・声量は適切か。相手の聴覚に負担を強いていないか
・そんなつもりはないのに、不満を含んだ声になっていなかったか
・もっと柔らかく、温かみのある声にならないか

といったことを、ジーパンTシャツやビーチサンダルと同様に気にする価値があります。

なにしろ、印象の約4割は声で決まるのですから。

「見た目は55%だから、もっと大事では?」と思いますか?

確かに、第一印象に関しては見た目の割合が最も大きい。

しかし、2回目以降は急速に影響力が低下していきます。

「見た目は慣れる」からです。

「美人は三日で飽きる。不美人は三日で慣れる」などという言葉もありますが、視覚刺激に順応しやすいのは確かです。

「美人だからという理由で結婚した」ケースはたまにあっても、「不美人だからという理由で離婚した」ケースはないのだそうです。

確かに、初回にビーチサンダルで現れた相手に衝撃を受けたとして、2回目以降は「そういう人なんだ」とあきらめがつきますね。会うたびに見た目で評価が下がり続けることはない。

ところが、声(聴覚刺激)は、飽きないし、慣れない。

好きな音楽を何百回でも飽きずに聴くのは、聴覚刺激だからです。数百年にわたって聴き継がれている古典歌曲などは、まさに「声は飽きない」証拠ですね。

「声は慣れない」ほうも重要です。

ヘンな声を出していたら、「2回目からは慣れた」とはなかなか感じてくれない。ヘンな癖はずっと気に障るし、ヘンな発声にはずっと違和感を覚える。

だから、長期的に良い関係を築きたいのであれば、声と話し方を気にするのが効果的なのです。

中でも、「通る声」は重要です。

まったく同じことを話していても、しっかり通る(届く)声で話すのと、通りのよくない声で話すのとでは、印象も信頼度も違います。

あなたがこの文章を読んでいるということは、声の影響力や重要性に気づいているか、声に関心を持ち始めている、ということですね。

その姿勢は実に正しい……と発声指導者として声を大にして言いたい。

約4割ですよ。声のトレーニングをしないのは、4割をあきらめる、ということです。

4割ぐらい構わない、と思いますか?

想像してみてください。髪をちゃんとセットしてから、4割をぐちゃぐちゃに崩したら、「どうしたんですか、その髪」と心配されるでしょう。

4割のぐちゃぐちゃで、全体が台無しですよね。

皮膚の2割を火傷したら、命にかかわるそうです。4割だったら……想像するだけでも恐ろしい。

ビジネスでも恋愛でも、印象の4割を決める部分は「全体を決める」といえるでしょう。

身だしなみを整え、魅力的な提案も完璧に用意したのに、声のせいで破談になるのは本当にもったいない。

声が占める4割は、共鳴発声法で整えましょう。

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「がんばらなくても通る声」に変えられる(共鳴発声法)

●声を出したり、人と話すのが苦手に……

こんな経験はありませんか?

・会話中に「え? なに?」とよく聞き返される
・店員さんを呼んでも気づいてもらえない
・電話口でも言葉がうまく伝わらない
・会議やプレゼンテーションで「もう少し大きな声で」と促される
・元気に挨拶できている人を見て、自分はできていない……と凹む

こんな場面を思い出すだけでも、つらくなってしまいそう。

声を出したり、人と話したりすることに苦手意識を抱いてしまいますよね。

でも、大丈夫。この悩みはやがて解消します。「声のサロン」に通うレッスン生なら、なおさら早く解消します。

なぜなら、「声は発声法で変えられる」からです。

 

●共鳴発声法で声は変えられる

「声は生まれつき決まっていて、変えられないのでは?」と質問されることがあります。

もちろん、変えられます。すぐに変えられます。数分で変えられます──と聞いたら、にわかには信じられないかもしれません。

でも、本当です。ただし、数分で起こせる変化は「それなり」ですけれどね。

ちゃんと発声法を身につけないと、数分程度で変えた声は定着せず、元の発声に引き戻されてしまいます。

それでも、トレーニングの入り口として「声は変えられる」と知っておいてください。

変えられるどころか、変えないともったいない。

誰でも発声法を変えるだけで声が変わるのに、今のままの声を続けて、「何度も聞き返される」「呼んでも気づいてもらえない」「大きな声を出せと叱られる」現状に甘んじているのは、本当にもったいない。

まずは「がんばらなくても通る声」の出し方を覚えて、使ってみましょう。

冒頭の悩みをもう一度眺めてみてください。

会話中に聞き返されたり、呼んでも気づいてもらえなかったり、といった状況は、「がんばらなくても通る声」が身についたら、すべて改善するのではありませんか?

 

●「話し方」も変えられる

発声法を変えれば、声は変わります。

声が変わると、「話し方」が自然に変わります。

それはそうですよね。今まで、どこか遠慮がちに、おずおず話しかけていた場面で、しっかり通る声で堂々と話しかけられるのです。

今まで、自分の声が通らない言い訳に、「うるさい話し方はしたくない」「図々しい人になりたくない」などと本心ではない理由をでっち上げ、いつしか半ば本気でそう思うようになっていたのが、説得力のある信頼感を与える声で商品の説明をしたり、プレゼンテーションしたりできるのです。

今まで、「何が言いたいのかさっぱり分からない」と突き放されていたのが、「いやあ、キミの話し方につい引き込まれたよ」と感心されるのです。

つまり、発言力が変わります。存在感が変わります。他者からの評価が変わります。

さあ、声を変えましょう。「がんばらなくても通る声」を出す時間です。

※声のサロンは、良い声で話せるようになる
 ボイストレーニング話し方教室です。
 日本発声協会が認定する話し方発声法の基本、
 共鳴発声法が学べます。
 平日コースと週末コースがあり、フェルマータを会場に
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「発声トレーニングは初めてですが、ついていけるでしょうか」

●発声トレーニングの経験がない方へ──むしろ好都合です

共鳴発声法を習いたい方から時々こんなお問合せがあります。

「今までに発声トレーニングをした経験が一度もないのですが、レッスンについていけるでしょうか」

ほかにも、「年齢が○代なのですが、この歳でも間に合いますか」というご質問もたまにあります。

お答えしますね。

今までに発声トレーニングをした経験がないのは、むしろ好条件です。

発声や話し方に対する先入観や癖がないので、レッスンの受け方が素直で、伸びが早い。

癖のない良い発声が身につきます。

発声指導者と話していると、よく耳にするのが「経験者ほど困る。ヘンな癖がついているから、癖を直すところから始めなければならない」という嘆き。

よけいに時間がかかるわけです。

「アナウンサー経験者は入り口でまず時間がかかる」
「音大卒業者でもコンコーネ50番からやってもらうことにしている」
※コンコーネ50番は声楽科の学生が最初に歌わされる練習曲集

と話していた指導者もいました。

発声トレーニングの未経験が、不利にならないどころかむしろ好都合であることがおわかりいただけたでしょうか。

絵画と同じで、まっさらなキャンバスに一から描いていくのが、最も早くて素直な描き方です。

未経験だからと引け目を感じる必要はまったくありません。安心していらしてください。

 

 

●「ちゃんとした発声が身についていれば、逆に早いのでは?」

 

「ヘンな癖がついていたら直すのが大変でしょうが、ちゃんとした発声が身についていれば、逆に早いのでは?」

と思うかもしれません。私も以前、そう思っていました。

ところが、なかなかそう都合よくいかないのがつらいところです。

ほんの微調整くらいで、あとはトレーニングを上乗せしていけるなら、指導者としては助かるのですが、なかなかスムーズにはいきません。

むしろ気持ちの問題が大きいのかな、と今は思っています。「私はある程度発声をやってきたから、基礎的なところはできているはず」という気持ちが邪魔をして、「ほんの微調整」すら簡単にはできない。

レッスンが入っていかないのです。

ある声楽家の門を叩いた生徒は、「私は違うふうに教わりました」などと反応して、「それなら元の先生に教わったらいかがですか?」と帰されたと聞きます。

トレーニングは登山と似ていて、登山道Aで途中まで登ってから、登山道Bに切り替えるのは難しいんですよね。

 

 

●ネット等であれこれ調べるタイプも危うい

 

ほかに、発声指導者やボイストレーナーから最近よく聞くのが、「生徒さんが熱心なのはいいのですが、ネットや本で発声法についてあれこれ調べて、こう書いてあったとか、○○発声法というのをやってみたいとか言われ、詳しく聞いてみるとたいてい的外れなテクニックなんですよね」というぼやき。

わかります。熱心なあまり、いろいろ覗いてみたくなるのでしょう。

まあしかし、本当に熱心な受講者は、レッスンで言われたことだけを正確に徹底的に実行しようとするので、「熱心だからネットで調べる」というのはちょっと違うかもしれませんね。

「混ぜるな危険」の法則を聞いたことがあるでしょうか。「指導法を混ぜると伸びない」という法則です。

つい先日も発声指導者から、「歌のレッスンを見ていた学生が、春休みに帰省したときに地元の歌の先生に何回かレッスンをしてもらったらしく、帰ってきたら発声がガタガタにズレていて、一からやり直しだった」という話を聞きました。

数年前には、別の発声指導者から「学生が長期の休みに帰省して戻ってくるたびに、なぜか発声がおかしくなっていて、聞いてみたら──」という話も聞きました。似たタイミングで似た危機があるのでしょうか。

いずれの先生も、「こんなことを繰り返すなら教えられないから、誰に教わるのかを自分でちゃんと決めなさい」とたしなめたそうです。

その「地元の先生」がどうというより、複数の指導法を混ぜるのがいけないんですよね。

今どき、どんなことでもネットで調べると、情報があれこれ出てきます。しかし、情報は玉石混交で、しかも「玉」のほうだけを選び取るのは至難の業です。

本人は「べつに真に受けてはいません。ちょっと調べてみただけ」なんて言うそうですが、やっぱり見聞きすると少なからず影響が残るようで、長期的に見ると「あまり伸びずに中途で挫折するタイプ」になってしまうようです。

「違う発声の癖がついてしまう」というのは、今までの積み重ねを一気に台無しにしてしまうくらい、これほどまでにマイナス影響の大きな出来事だということです。

 

 

●まっさらになって取り組めば大丈夫

 

私も「声のサロン」会員には、丁寧に正確に共鳴発声法を身につけていただきたいと願っています。

まっさらな素直な気持ちで取り組む人が、最もスムーズに良い発声を身につけます。

その点では、経験があろうとなかろうと、何歳だろうと、同じです。

年齢でいうと、若年層ほど伸びが早い傾向は確かにあります。

しかし、それは決して身体的な理由ではなく、歳を重ねるうちに声や発声法に関する先入観や思い込みが多くなって、まっさらに、素直になりづらい人がいるから、と推測しています。

事実、何歳だろうと素直に取り組む人は、上質な伸びを見せます。

トレーニングの取り組み方次第です。

発声トレーニングの経験がなくても、何も心配いりません。安心して始めましょう。

発声トレーニングの経験があるなら、あるいは年齢を気にしているなら、一日も早く早く始めましょう。

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良い声のための最適なエネルギーの使い方(共鳴発声法)

●最適なエネルギーとは最小のエネルギー

 

お腹の使い方に関して、「必要以上に力むのではなく、最小限(最適)のエネルギーで動作する」という説明をしたところ、こんなメールが届きました。

> 仕事のやり方や人間関係なども余計な力を入れずに
> ちょうどよくエネルギーを使いたいなあと思いました。

まさにそのとおりですね。一事が万事、発声トレーニングは生活全般に応用できますね。

「人生に必要な知恵はすべて発声トレーニングから学んだ」になるかもしれません。昔そんなタイトルの本があったっけなあ。

「一を聞いて十を知る」という諺がありますが、この諺を地で行く方が「声のサロン」受講者には多いなといつも感じています。

一方、指導する立場としては、「十を教えてやっと一が伝わる」くらいのつもりで丁寧に指導にあたるのがいいのでしょう。

最適なエネルギーとは、基本的には「必要な最小のエネルギー」を意味します。

10kgのダンベルを持ち上げるのに、10kgのパワーのみ発揮するのが最適です。

9kgでは足りないので持ち上がりません。

20kgでは余分なエネルギーを使いすぎです。拮抗筋でわざと邪魔をしているような、サイドブレーキをかけっぱなしでアクセルを踏んでいるような状態ですね。

20kgのほうは「10kg分も無駄にしている」と意識しやすいのですが、9kgのほうだって「ダンベルが持ち上がらないのだから、9kg分の無駄」です。

「ちょっと足りない」のはすごくもったいない状態だと分かりますね。

やるならしっかりやらないと、「ちょっと試しにやってみる」くらいではもったいない。

発声とは違いますが、たとえば「笑顔」もそうです。あとほんの少しだけ表情筋を使えば相手にハッキリ笑顔と分かる表情になるのに、「ちょっと足りない」顔では笑顔として認識されず、「何を考えているのか分かりづらくて不気味」なんて思われてしまう。

「ちょっと足りないところまでは使っている表情筋のパワー」が無駄遣いになって、もったいない。

中途半端はもったいないんですよね。

やるなら、やる。徹底的に、やる。

──ということですね。

発声トレーニング、徹底的にやっていますか?

 

●最大のエネルギーを一点集中する

 

「できる」ようになる人は、「最大のエネルギーを一点集中」します。

「あれ? 最小のエネルギーが最適なのでは?」と思いましたか?

もちろんそのとおりです。

ただし、それは「肝心な部分に投じるエネルギーを最大化するため」です。

発声トレーニングは相当なエネルギーを要しますから、ほかの活動でエネルギーを浪費していたら、効果を上げるだけのトレーニングができません。

だから、「あれもこれも、やることがたくさんあって大変だ~」と意識が「いっぱいいっぱい」にならないように、最小のエネルギーで上手に「生活全般」をこなしておいて、必要なエネルギーを一点集中で投じる。

つまり、最小のエネルギーで動ければ、「最大のエネルギーを一点集中」という原理原則に従えるわけです。

その時その時に「声のサロン」でしっかり取り上げているテーマに一点集中すると、レッスンやこのブログの内容が「自分のためのレッスン」になりやすいので、お勧めです。

今なら、「共鳴を集める」に一点集中ですね。

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首まわりを冷やさず鼻呼吸(良い声で話すために)

●呼吸は鼻

今、鼻呼吸をしていますか?

良い声で話すには、「共鳴発声法」という技術面が最も大事ですが、ほかにも気をつけたいポイントがあります。

生身の体を楽器にするのが「発声」ですから、体を「発声に適したコンディション」に保ちたい。

特に、声のもとである喉頭原音を生み出す声帯は「冷えと乾燥」に弱いので、気をつけて守りましょう。

長時間話したり、ステージで歌ったりする出番があるなら、直前に乾燥した寒い場所を歩いたり、海風に当たったりしないように気をつけます。

もちろん口呼吸は厳禁。口には鼻と違って、乾燥や異物から身を守る機能がありません。

「呼吸は鼻」が基本でしたね。

 

●マスクとマフラー

良い声のためにぜひ活用したいアイテムもあります。

今は梅雨なので、喉には優しい季節ですが、乾燥しやすい冬はマスクとマフラーが便利です。

以前に奇妙なシーンに遭遇したことがあります。音楽ホールの楽屋口あたりに、やたらとマスク率の高い集団がいたんです。10人中7~8人がマスク着用。

みなさん、出番を待つ声楽家でした。

なるほど、声を大事にすることにかけては、世界一の集団ですからね。

首まわりを温めるのも効果的です。マフラーは便利ですね。

寝るときも、首まわりを冷やさない工夫をするといい。

「声のために」とあまりに神経質になっても不自由ですが、本番前の数日を気をつけて過ごすだけでも、だいぶ違いますよ。

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声のサロン会員登録をお願いします

●声のサロン会員にご連絡です

声のサロン会員の登録フォームを設置しました。

レッスン日の変更や追加レッスンのご案内など、比較的大事な連絡時にこちらからメールを差し上げます。

新入会員には「新入会員用資料」でお伝えしているのですが、ベテラン会員に連絡をしていなかったことに気づきました。

先日は追加レッスンについてこちらのブログでも触れましたが、その直前にメールで案内を受け取っていない方は、会員登録ができていない可能性があります。

こちらに登録フォーム(アドレスの変更・解除フォームも)がありますので、登録をお願いします。
   ↓
https://wsi-net.org/salon_register.html

すぐに自動返信で確認メールが届きます。届かない場合は、セキュリティ設定が原因で迷惑メールフォルダに入っていたり、受信できなくなっていると考えられます。

確認メールが届くまで、セキュリティ設定を変更しながら手続きをしてみてください。

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Se tu della mia morte(貴女が私の死の栄光を)

会員メールは届きましたか?

先ほど「声のサロン」会員にメールで追加レッスンをお届けしました。

届きましたか?

1. 喉あけチェック
2. 喉を開けたまま高音を出す練習
3. 来月の課題曲の予習

の3つです。

「Se tu della mia morte」は発声技術の向上に特に役立つイタリア古典歌曲なので、じっくり取り組みましょう。

 

Se tu della mia morte

 

 

 

良い声で話す方法に才能や向き不向きはあるか

●発声器官はみんな同じ

「私でも良い声になれるでしょうか」と心配する方がいます。

大丈夫。良い声で話すのに、才能も向き不向きもありません。

あなたの発声器官と世界的歌手の発声器官を比べても、なんら違いはないのです。

だから、「生まれつき声が良い」「良い声で話すのに向いていない」などあり得ません。

そもそも私たちの体には、「もともと発声のための器官」は備わっていません。

呼吸のための器官、味覚のための器官、誤嚥を防ぐための器官などを発声のために借用して、いわば本来とは異なる使い方をして、声を出しているのです。

バケツをドラム代わりに使っているようなものでしょうか。

バイオリンの弓を使って指揮をするようなものか。

だとしたら、「このバケツはドラムに向かない」「彼の弓はもともと指揮に適している」などと考えるのは滑稽ですよね。

あなたの発声器官が、ほかの誰かより劣っていると考える理由はひとつもないのです。

 

●違いは発声の技術だけ

違いがあるとしたら、発声技術の違いだけです。

声帯を正しく閉じる技術だったり、咽頭腔を適度に広げる技術だったり、横隔膜を適切に押さえる技術だったりと、技術的な差はかなり大きい。

声帯を正しく閉じる技術がないと、空気漏れの多い嗄声(かすれ声)になって、息も続かないだけでなく、声帯にダメージを受けやすい。

咽頭腔を適度に広げる技術がないと、つぶれて硬い、深みのない声になる。

横隔膜を適切に押さえる技術や共鳴の技術がないと、通る声を安定して発することができない。

このように、発声技術には相当大きな個人差があります。

違いのありかは、体の構造ではなく、技術。

ということは、「トレーニングで伸びていく」ということです。

 

●だから練習あるのみ

発声練習によって、技術は向上していきます。

それも、時間をかけて少しずつ、着実に。

一日で急激に変わることはありません。

スポーツや楽器も、同じですよね。

自転車に乗れるようになったり、鉄棒で逆上がりを覚えたりしたときのことを思い出すと、ある日突然「あ、できた!」と変化した気がするかもしれません。

しかし、実際には水面下でじわじわと上達の積み重ねが進んでいて、ある時点でついに水面から上に出て、「あ、できた」と実感できただけのこと。

0から急に10にジャンプしたのではなく、0から1へ、1から2へと水面下で積み重ねて、ついに10に至ったときに顕在化して「できた」と自覚できたわけです。

声のトレーニングを続けていると、「声がずいぶん変わった」という自覚が定期的に得られます。

しかも、「あの時は変わったと感じたけれど、あんなのはまだまだだった」「あれはまだ、できたうちに入らなかった」とかつての自覚を否定しながら、成長を繰り返していく。

トレーニングを続けている人だけがご褒美として手に入れる悦びですね。

そのたびに、「ああ、あの時にできたと思って油断しなくてよかった」とホッとする安堵感も、続けてきた人だけのご褒美です。

さあ、練習あるのみですよ。練習は裏切りませんからね。

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