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仕事でいっぱいいっぱいになったときの処方箋

●超多忙な時期を乗り切るために

「ことば学講座」の補足として、仕事で余裕をなくして「いっぱいいっぱい」になってしまったときの対処法をいくつか挙げておきます。

余裕がなくなると、いつもならできる冷静な判断も難しくなります。

ことば学講座でトレーニングしているような思考法やコミュニケーションの技術を頭ではわかっていても、渦中にあるときは勝手が違うんですよね。

まさに今、ことば学講座で「任せる技術」を取り上げていますが、「任せるのに必要な思考や判断」がうまく働かなくなったら、何から手をつけていいか、何を誰に任せたらいいのかすら、わからなくなってしまう。

そこで、次に挙げるチェックポイントの中で、もしまだ実行していないものがあったら、せめてそこを改善して、この事態をなんとか乗り切ってください。

こんな時期はいつまでも続くわけではありません。乗り切れば、なんとかなりますよ。

「いっぱいいっぱいになってしまったときの処方箋」です。


●書き出す

前回の「ことば学講座」で、記録の効能についてお伝えしましたね。

今やらなければならないことを、優先順位や時間的な順番など気にせず、とりあえず書き出しましょう。

「やらなければならないのは、あれと、これと……」と列挙できるうちは、まだ余裕があります。

本当に余裕がなくなると、「やらなきゃならないことだらけなの!」と個々の把握ができない状態にもなりかねません。

頭の中に置いておくと、ワーキングメモリーに負荷がかかります。

だから、外に出してしまったほうがいいのです。

たとえば、こんな感じに。

□ガラコンサートのプログラム作成
□ガラコンサートの記念バッジ作成
□プログラムの発注
□記念バッジの発注
□紅茶講座用の台湾紅茶を買いに行く
□ウクレレ弾き歌い入門編執筆
□ウクレレ、ギター用楽譜作成
□スタッフ用に胡麻あんまんを探しに行く
□店長の名刺を発注

あ、これは私のですね。

こんなふうに、現在抱えている仕事を思いつくだけすべて書き出します。

すでに〆切を過ぎているもの、まだまだ時間的に余裕があるもの、今日中に終わるもの、数か月がかりで取り組むもの、なんでも構わず書き出しましょう。

ちなみに、行頭に□を付けるのは、済んだときに☑にして整理しやすくするためです。


●優先順位が付けられるなら付けて整理する

箇条書きに挙げた項目を、優先順位を付けて並べ替えられるなら、優先順位の高い項目を上のほうに移動します。

判断ができないものは特にいじらないでそのまま並べておいていい。

さらに、「あなたにしかできないもの」に印をつけて区別しましょう。

「現状では自分にしかできない」としても、「数ヶ月あれば、部下ができるようになりうる」ものもあるかもしれません。

たとえば、上の項目の中で、プログラムやバッジを発注するためのデザインやファイル作成は、ほかのスタッフができるようになるには、じっくり教えて2~3ヶ月はかかりそうですが、ファイルが完成してしまえば、発注の手続きなら誰でもできます。

流れとしてスムーズだから「作成→発注」まで私がおこなっているだけで、発注を誰かに任せたら、仕事が手を離れるのが少し早くなりますね。

紅茶を買いに行くのも、胡麻あんまんを探しに行くのも、何を買うかがわかっていれば誰が行っても同じだし、紅茶の知識があるスタッフになら選ぶ段階から任せられる。

店長の名刺は、切らしてしまったけれど急がなくてもいいし、旧バージョンの名刺でいいなら、以前にお願いしたことのあるデザイナーに電話すれば、すぐにでも印刷会社に発注してくれる。

──と考えると、「私がやらなくても回る仕事」をかなり私がやっていることになります。

書き出したような項目は、ほとんどすべて「任せられる仕事」なんですね。


●いったん整理したら、しかるべき相手に伝える

書き出して整理して「現状」が把握できたら、しかるべき相手(上司など)に伝えましょう。

仕事のリストラやリスケジュールのためです。

減らせる仕事、〆切を変更できる仕事、ほかの人に回せる仕事があるかもしれません。

すでに「いっぱいいっぱい」なのだから、「がんばれば、なんとかなる」と考えず、まずは「がんばらなくても、なんとかなる」レベルにペースを落として、心身を立て直しましょう。


●「できない」と言う

真面目で能力の高い人ほど、「できない」と言えず、キャパを超えて仕事を引き受け、抱え込んでしまいます。

上手にチームメンバーや部下に割り振れればいいのですが、誰がどの仕事に向いているか、誰に任せたら本人の成長につながるか、などが判断しきれない年度初めの時期などは、結局は自分ですべて背負ってしまいます。

キャパを超えたなと思ったら、「できない」と言いましょう。

それは決して、仕事の放棄ではありません。「できる仕事を、責任をもって丁寧におこなう」のがいい。

仕事には「安心ゾーン」「挑戦ゾーン」「混乱ゾーン」があるとされています。

「安心ゾーン」は、特に負荷のかからない、テキトーにやってもできる(レベルや量の)仕事。

「挑戦ゾーン」は、普通にやっていたら難しいが、工夫やがんばりによってやり遂げられる仕事。成長につながる。

「混乱ゾーン」は、完全にキャパを超えている仕事。余裕を失い現場は混乱する、

真面目で能力の高い人ほど、キャパを超えているのがわかっていても、「残業すればなんとかなる」「休日出勤で進めれば大丈夫」と、引き受けてしまう。

「できない」と判断したら、自信をもって「できない」と言いましょう。

「今これだけの仕事があって」「いつまでの〆切では間に合わない」「何時間かければできそう」「だから○月○日まで〆切を延ばしてもらえればできる」という具合に「理由を添える」ことを忘れなければ、上司に伝わるはずです。


●力を抜いてリラックスタイムを過ごす

いっぱいいっぱいになるほど忙しくても、食事や入浴をしないわけではないでしょう。

忙しい時期ほど、脳内を「静か」にする時間が必要です。

脳内が「うるさい」のは、机の上がごっちゃごちゃのまま、どこに何があるのかわからないまま作業をしているようなものです。

「忙しくて、片づけている暇がない」と言い訳したくなりますが、片づけてから次の仕事をしなかったら、状況が悪化の一途をたどるのは目に見えています。

だから、食事中や入浴中、寝るときまで「あ~、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と騒々しいまま過ごさないで、パチンとスイッチを切ってとろとろにリラックスする時間を過ごしましょう。

ゴムをギューッと引き伸ばしたままにしておくと劣化してしまいます。

意識的にゆるめましょう。

* * *

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ウクレレ弾き歌いのコツ

きよしこの夜(Silent Night, Stille Nacht)でウクレレ弾き歌い

●1小節2ストロークから

では、3コード程度で歌える歌で、弾き歌いの練習をしましょう。

まずは「きよしこの夜」(Silent Night, Stille Nacht)。

クリスマスシーズンによく耳にする曲なので、季節はずれな気もしますが、季節を問わず良い歌なので、しかもここでご紹介したウクレレの教本にも出てくるので、弾いてみましょう。

なじみのある日本語でも、たぶん中学生の頃に覚えた英語版でも、原語のドイツ語でも、好きなバージョンで歌ってみてください。

弾き方は同じで、好きな言語を選んで歌えるなんて、お得ですね(ご用意した楽譜にはドイツ語が入っています)。

こちらに楽譜のPDFをご用意しました。ダウンロードしてお使いください。

教本のコードとは、ほんの少しだけ違います。もともとシンプルな曲ですが、もっとシンプルなコードにしてあります。

楽譜の下にある3コードをまずは確認してください。

C、F、G7です。

※ギターで弾き歌いに挑戦している方は、最初は「F」が難しいので、こちらの楽譜をお使いください。D、G、A7で弾きます。

「1小節に2ストローク」というシンプルな弾き歌いからやってみましょう。

6/8拍子の曲なので、2拍子系ですね。だから1小節で2回、親指でポロロンとゆっくりストロークします。

どのタイミングでストロークするか、わかりますか? 出だしでいうと、「Stille」で1回、「Nacht」で1回。次の小節は「heilige」で1回、「Nacht」で1回。

細かいことは考えず、感覚的にやっても、自然とこのタイミングになるでしょう。

コードが書いていないところは、前と同じコードを続けます。たとえば、2小節目は「C」ですね。

最後から2つ目の小節だけ、小節の途中でコードが変わります。「C」で入って、2拍目は「G7」になる。

わかりにくいところがあったら、何でも質問をどうぞ。

●必ず声を出しながら

発声は最初は「口ずさむ程度」でいいので、ただし必ず声を出しながら練習します。

声が出しにくい状況だったら、ハミングでもいいので、「ウクレレのみにかかりっきり」にならないようにしましょう。

最初にコードフォームを確認しながら押さえる練習をする段階はいいとして、「さあ、それでは弾いてみよう」となったら、必ずメロディーを口で出しながら、できれば歌詞を乗せながら演奏します。

何回か(10回ぐらい)繰り返してみて、難しいところや、気づいたことなどあったら、メールで聞かせてください。

そのコメントを次の進め方に反映させていきます。

* * *

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弾き歌いのススメ

●せっかく発声トレーニングをしているのだから弾き歌い

「声のサロン」で発声トレーニングをしていると、声が楽に出るようになってきます。

話し声を良くしたいとレッスンを受け始めた方が、初めのうちは「歌は下手だから歌いたくない」「恥ずかしくてとてもとても」なんて言っていたくせに、良い声が気持ちよく出るようになってくると、ハマる。

数年でコンサートホールのステージに立つほどになるのだから、発声や歌にはスゴイ魅力があるのですね。

そんな段階を迎えた方にオススメしたいのが、「弾き歌い」(ひきうたい)です。

「弾き唄い」と書かれることもあります。「弾き語り」という言葉もありますね。厳密な区別があるわけではなさそうですが、ざっくり見ると、クラシック音楽では「弾き歌い」、ポピュラー音楽では「弾き語り」、日本の長唄などで「弾き唄い」が使われているケースが多いようです。

ここではジャンルや楽器を区別せず、「歌唱と伴奏の分担をしないで,同一人が伴奏楽器を弾きながら歌を歌うこと」の意味で「弾き歌い」を使うことにします。

せっかく発声トレーニングをするなら、コツを覚えてぜひ「弾き歌い」に挑戦しましょう。


●弾き歌いのメリット(魅力)とは

弾き歌いには、メリットがたくさんあります。

無伴奏(アカペラ)で歌うのは難しいですね。音程が安定しにくい、粗が目立つ、音楽的になりにくい、等など。そこに楽器による伴奏が付くと、途端に音楽になります。

とはいえ、歌をなさる方ならよくわかるように、伴奏者を見つけたり依頼したりするのは簡単ではありません。手間がかかるしお金もかかるし打合せのスケジュール調整なども「相手があってのこと」なので気を遣う。

それが一人でさらっとできるとなれば、いくつもの気がかりが一発で解決してしまいます。

ステキな趣味もできる。

「しゃべり」は趣味にはなりにくいでしょうが、「音楽」となると一生ものの趣味になります。すでに多趣味な方にはニーズがないかもしれませんが、「手を広げる」のではなく「すでに取り組んでいる活動を掘り下げたところにある活動」であれば、「スピーチ」「プレゼンテーション」「会話」などにもプラスの相乗効果がある、一石二鳥の趣味になります。

しかも、一生にわたり質的に年々高まっていく趣味になりうる。

「昨日ハードに声を出して嗄声ぎみだから、今日は発声練習をセーブしないと」「風邪ぎみで声が出ない」というタイミングなら、伴奏のほうを丁寧に練習すればいい。

そもそも弾き歌いをするのは、音楽をなさる方の中でもごく少数なので、楽器やジャンルによっては「世界に数人しかいない活動」にもなる可能性があります。たとえば「アコーディオンを弾きながらナポリターナを歌う」人は、全国でも数名もいません。

誰にとっても、プロの演奏家にとっても、極めてハードルが高い弾き歌い。しかしすでに発声トレーニングをしているあなたにとっては、現状ですでにハードルが低くなっています。つまり、あなた向きなのです。

やりがいがあると思いませんか?


●弾ける楽器がないなら

では、あなたの弾き歌いスタイルを探してみましょう。

あなたの歌のパートナーになりそうな楽器は、何を思いつきますか?

まずは自分が弾ける、馴染みのある楽器から検討していきましょう。

ピアノ? いいですねえ。

アコーディオン? 素敵です。

バイオリン? 顎で楽器を支えるから、歌にとって有利とはいえませんが、工夫すればできるかもしれません。

多くの人がやっていないスタイルほど、やりがいがありますね。

打楽器? おもしろいかもしれない。メロディーや和音の助けにはなりませんが、プリミティブな音楽の雰囲気が出せそう。

歌のパートナーなので、管楽器は難しそうですね。ハーモニカや鍵盤ハーモニカなど、口を使う楽器も弾き歌いの伴奏には不向きといえます。

ギター?

最適でしょうね。ガットギター、フォークギター、ウクレレ、マンドリン等など、ギター型の楽器は弾き歌いには最も適しています。

フォークソングをアコースティックギターで弾き語り、というのはごく自然なスタイルですね。

弾ける楽器が今のところないとしたら、ギターがお勧めです。簡単なコードをいくつか覚えれば、コツだとか方法だとかこだわらずに、簡単な伴奏ならすぐにできます。

ほかにも、ハープとかベースとか三味線とか大正琴とか、弾き歌いを試してみたい楽器を思いつくかもしれません。

何か思いついたら、「声のサロン」のレッスンのときにでも話を聞かせてくださいね。楽しみにしています。


●歌うジャンルは?

歌うジャンルは、何にしましょうか。

「弾き歌い」というスタイルがそもそも少数派なのだから、堅苦しく考えることはありません。

ボタン式アコーディオンだからフレンチポップスだろうとか、三味線だから日本の歌を歌わなければならないとか、そんな決まりはありません。

「声のサロン」で発声トレーニングをしているので、まずはレッスンで取り上げている歌に挑戦するのがスムーズかな、と思います。

ナポリターナ、イタリア古典歌曲、クリスマスソング、日本の唱歌など、レッスンで歌った中から好きな歌を選んでみるといいでしょう。

そのうち、あなたに合ったスタイルに育っていきますよ。

* * *

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弾き歌いは「声がメイン」

●弾き歌いに驚きの反応

ここのところ、「弾き歌い」について話す機会があって、このサイトでも取り上げたら、予想以上の反響がありました。

弾き歌いなんてマニアックな活動には、特別に熱心な会員のほか、一部のマニアぐらいしか反応しないだろうと予想していたのです。

ところが、楽器の選択に関する相談メールがすぐに何通か届いただけでなく、「声のサロン」会員ではない方々からもご相談をいただいたりして、関心の高さに驚きました。

そこで今日は、「弾き歌い」についてもう少し掘り下げてお話しします。楽器の選び方や今後の練習の参考にしていただけたら幸いです。


●楽器と歌はどっちがメイン?

「弾き歌い」は、文字通り「楽器を弾きながら、歌う」わけですが、歌と楽器はどちらがメインだと思いますか?

「そんなのは演奏者によるのでは?」と思うでしょうか。まあ確かにそのとおりで、決まりなどないのだから演奏者が自分で決めたらいいのですが、あなたに「声のサロン」(あるいは音色塾)としてあなたにお勧めするスタイルとしては、メインが決まっています。

「歌がメイン」です。

発声トレーニングの一つの展開として「弾き歌い」を取り入れるわけだから、歌が優先と考えるのは自然かもしれませんが、それだけでなく、演奏の形態として「逆では格好がつかない」実態があるからです。

先日、ある演奏家がこんな話をしてくれました。

彼は楽器をソロで演奏することが多いのですが、あるコンサートで「新たなスタイルを模索して」「パフォーマンスの幅を広げて喜んでもらおう」として、楽器を弾きながら歌を入れてみたのだそうです。

1曲だけ弾き歌いをしたわけですね。

すると(切ない話なのですが)帰り際に会場の主催者から「次回は歌は無しでお願いできますか」と申し訳なさそうに頼まれてしまった。

それだけでなく、後日馴染みのお客さんから「歌はなかなか、習わないと難しいよね」と言われ、早まったことをしたと悟ったそうです。

歌(人の声)は存在感がたいへん大きいので、トレーニングしていない状態で「気軽にちょっと入れてみる」ようなものではないんですよね。

喩えるなら、カレーみたいなものでしょうか。鍋でもチャーハンでもピッツァでも、カレーを入れたら「カレー味!」にしかならない。カレーは隠し味にはならない。ほかでリカバリーが効かなくなる。

実はこのようなエピソードは、彼だけでなく、ほかにも複数の演奏家から聞いたことがあります。

楽器を弾きながら試しに声を出してみたら、「歌わなくてもいいんじゃないですか?」「楽器だけのほうが断然イイ」と、なんだかよくわからない感想をもらった話。

ライブ会場に来ていた先生(楽器を教わった先生)から、「なぜ歌った?」「もったいない」と叱られた話。

歌と楽器が同時にある場合、「歌の存在感が勝つ」ので、しっかりした発声でうまく歌わないと、全体を台無しにしてしまう可能性があるんですね。


●歌に楽器を添えるのはOK

ところがです。逆はなぜか、うまくいく。歌手が楽器をたわむれに加えるのは、たいへん好意的に受け入れてもらえるようです。

歌手がなんとなく思いつきで、ほんの数日だけ見よう見まねでコードを覚えただけのギターを掻き鳴らしながら、いつものように歌ったら、「いいですね~」「なんだか新鮮ですね」と喜ばれた。

ハンド(サンド)シェイカーでチャッチャッとリズムを刻みながら歌ったら、「リズムが加わるだけでイキイキする」「楽しかった」と褒められた。

つまり、もともと歌で形になっていたところに楽器が加わるのは、たとえ楽器の技術が高くなくても、うまくまとまりやすい。

楽器だけで形になっていたところに歌が加わるのは、歌の技術が高くないと、全体のまとまりや質を損ねてしまう。

だから、「歌がメイン」です。

まあ、それはそうですね。「声のサロン」は、楽器の教室ではありませんから。

だから弾き歌いは、歌のトレーニングの味付けに、軽く楽器の伴奏をつけてみる、くらいに考えるといいでしょう。

伴奏のはずの楽器にてこずって、発声トレーニングの時間が削られたのでは元も子もありませんからね。

そう考えれば、気軽でしょう?

見方を変えれば、あなたはすでに、何よりもパワフルな楽器(つまり歌)をやっているわけです。


●楽器ごとにメリットとデメリットがある

「この楽器で弾き歌いはできるでしょうか」「私の手に負えるでしょうか」と、すでにいくつかアイデアが寄せられています。

ピアノ、アコーディオン、ウクレレ、そしてなんと、琵琶。

どんな楽器も、もともと弾き歌い用に最適化して作られたわけではないので、ちょっとした共通のコツがあるだけでなく、それぞれにメリットとデメリットがあります。

まず、複数の方が挙げてくださったピアノは、完成度の高い、「楽器の王様」みたいな楽器なので、弾きこなせればすばらしいパフォーマンスになるでしょう。

「ピアノで弾けない曲はない」というくらいに、本当にすばらしい楽器ですよね。

ただし、ほかの楽器と比べて、一から始めるとしたらかなりの労力を要する、とっつきやすそうで相当難しい楽器といえます。

今までにピアノを相当弾いてきた方でないと、歌にちょこっと伴奏を加えてみる程度の感覚では済まないでしょう。ピアノのレッスンに別途通わなければならないとしたら、「発声を掘り下げる」のではなく「手を広げる」ことになってトレーニングの一点集中が削がれることにもなりかねない。

すでに弾ける方は、ピアノによる弾き歌いの弱点として「横向きになりやすい」を知っておきましょう。聞き手から見ると、演奏者が右方向を向いているスタイルになりやすいので、発声技術をしっかり高めないと、声が届きにくくなります。

共鳴発声法をしっかり身につけましょう。

アコーディオンはどうでしょうか。コードボタンを押せば和音が出るので、伴奏にはたいへん有利です。ピアノで3~4個の鍵盤を押すのと同じ和音が、ボタン1個押さえて蛇腹を動かせば出せる。

まさに伴奏のための楽器、みたいなものですね。

ただし、デメリットとしては、楽器が重い。機械みたいなものなので、重量物です。そして、値段も数十万円を覚悟しなければならないので、「とりあえず試してみる」にはハードルが高いかもしれません。

ウクレレは、小さい、軽い、和音が得意、といったメリットが実にありがたい。どこにでも持ち歩けるし、こだわらなければ安く手軽に手に入る。

ギター型の楽器として、手にしやすい選択肢といえるでしょう。

デメリットとしては、音域が狭く、ごく簡単なコードで演奏しようとすると、声域の制限がある。先日もウクレレの弾き歌いを聴かせてくれた会員が「Cを中心とする簡単なコードで弾くと、最高音がドと低く、ちょっと歌いづらい」と話していました。

まあでも、使えるコードをがんばって増やせば、共鳴の効いた良い声が出しやすい音域に移調することはできるでしょう。

ほかに、音量の問題はありますね。楽器が小さいだけに音量も限られるので、共鳴発声法を高度に身につけた人がしっかりした声を出すと、伴奏が聞こえなくなってしまいます。

そのときはアンプを使うなど電気的な助けを借りる方法がありますが、いわゆる「生音オンリーの場」では難しいこともあります。「小さい、軽い」という大きなメリットが、同時に「音が小さい」というデメリットにもなっているわけです。

といっても、コードを押さえてジャンジャン激しく掻き鳴らせば、大きめのコンサートサイズ、テナーサイズのウクレレなら結構な音量が出せます。

そして、琵琶ですが、すでに琵琶を弾きこなしているのであれば、なんとも面白い、実にユニークな弾き歌いができそうですね。

ぜひ実現していただきたいと思いますが、これから琵琶を始めるのはなかなかハードルが高そうです。楽譜がそもそも違うので、「声のサロン」で歌っているような歌の伴奏に対応するには、西洋音楽を琵琶用に記譜する手間がかかります。

それがどの程度の手間なのかは私にはわかりませんが、三味線と琴の演奏家に以前に聞いたところによれば、楽譜が異なるジャンルの楽器同士で演奏する場合のアレンジは「簡単ではない」という方と「わりと得意なんです」という方がいたので、演奏家次第なのかもしれません。

──と、このようにあらゆる楽器にメリットもあればデメリットもあるので、メリットをいかに活かし、デメリットをいかにカバーするかを工夫しながら、歌に味付けをしていきましょう。

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