「発声トレーニングは初めてですが、ついていけるでしょうか」

●発声トレーニングの経験がない方へ──むしろ好都合です

共鳴発声法を習いたい方から時々こんなお問合せがあります。

「今までに発声トレーニングをした経験が一度もないのですが、レッスンについていけるでしょうか」

ほかにも、「年齢が○代なのですが、この歳でも間に合いますか」というご質問もたまにあります。

お答えしますね。

今までに発声トレーニングをした経験がないのは、むしろ好条件です。

発声や話し方に対する先入観や癖がないので、レッスンの受け方が素直で、伸びが早い。

癖のない良い発声が身につきます。

発声指導者と話していると、よく耳にするのが「経験者ほど困る。ヘンな癖がついているから、癖を直すところから始めなければならない」という嘆き。

よけいに時間がかかるわけです。

「アナウンサー経験者は入り口でまず時間がかかる」
「音大卒業者でもコンコーネ50番からやってもらうことにしている」
※コンコーネ50番は声楽科の学生が最初に歌わされる練習曲集

と話していた指導者もいました。

発声トレーニングの未経験が、不利にならないどころかむしろ好都合であることがおわかりいただけたでしょうか。

絵画と同じで、まっさらなキャンバスに一から描いていくのが、最も早くて素直な描き方です。

未経験だからと引け目を感じる必要はまったくありません。安心していらしてください。

 

 

●「ちゃんとした発声が身についていれば、逆に早いのでは?」

 

「ヘンな癖がついていたら直すのが大変でしょうが、ちゃんとした発声が身についていれば、逆に早いのでは?」

と思うかもしれません。私も以前、そう思っていました。

ところが、なかなかそう都合よくいかないのがつらいところです。

ほんの微調整くらいで、あとはトレーニングを上乗せしていけるなら、指導者としては助かるのですが、なかなかスムーズにはいきません。

むしろ気持ちの問題が大きいのかな、と今は思っています。「私はある程度発声をやってきたから、基礎的なところはできているはず」という気持ちが邪魔をして、「ほんの微調整」すら簡単にはできない。

レッスンが入っていかないのです。

ある声楽家の門を叩いた生徒は、「私は違うふうに教わりました」などと反応して、「それなら元の先生に教わったらいかがですか?」と帰されたと聞きます。

トレーニングは登山と似ていて、登山道Aで途中まで登ってから、登山道Bに切り替えるのは難しいんですよね。

 

 

●ネット等であれこれ調べるタイプも危うい

 

ほかに、発声指導者やボイストレーナーから最近よく聞くのが、「生徒さんが熱心なのはいいのですが、ネットや本で発声法についてあれこれ調べて、こう書いてあったとか、○○発声法というのをやってみたいとか言われ、詳しく聞いてみるとたいてい的外れなテクニックなんですよね」というぼやき。

わかります。熱心なあまり、いろいろ覗いてみたくなるのでしょう。

まあしかし、本当に熱心な受講者は、レッスンで言われたことだけを正確に徹底的に実行しようとするので、「熱心だからネットで調べる」というのはちょっと違うかもしれませんね。

「混ぜるな危険」の法則を聞いたことがあるでしょうか。「指導法を混ぜると伸びない」という法則です。

つい先日も発声指導者から、「歌のレッスンを見ていた学生が、春休みに帰省したときに地元の歌の先生に何回かレッスンをしてもらったらしく、帰ってきたら発声がガタガタにズレていて、一からやり直しだった」という話を聞きました。

数年前には、別の発声指導者から「学生が長期の休みに帰省して戻ってくるたびに、なぜか発声がおかしくなっていて、聞いてみたら──」という話も聞きました。似たタイミングで似た危機があるのでしょうか。

いずれの先生も、「こんなことを繰り返すなら教えられないから、誰に教わるのかを自分でちゃんと決めなさい」とたしなめたそうです。

その「地元の先生」がどうというより、複数の指導法を混ぜるのがいけないんですよね。

今どき、どんなことでもネットで調べると、情報があれこれ出てきます。しかし、情報は玉石混交で、しかも「玉」のほうだけを選び取るのは至難の業です。

本人は「べつに真に受けてはいません。ちょっと調べてみただけ」なんて言うそうですが、やっぱり見聞きすると少なからず影響が残るようで、長期的に見ると「あまり伸びずに中途で挫折するタイプ」になってしまうようです。

「違う発声の癖がついてしまう」というのは、今までの積み重ねを一気に台無しにしてしまうくらい、これほどまでにマイナス影響の大きな出来事だということです。

 

 

●まっさらになって取り組めば大丈夫

 

私も「声のサロン」会員には、丁寧に正確に共鳴発声法を身につけていただきたいと願っています。

まっさらな素直な気持ちで取り組む人が、最もスムーズに良い発声を身につけます。

その点では、経験があろうとなかろうと、何歳だろうと、同じです。

年齢でいうと、若年層ほど伸びが早い傾向は確かにあります。

しかし、それは決して身体的な理由ではなく、歳を重ねるうちに声や発声法に関する先入観や思い込みが多くなって、まっさらに、素直になりづらい人がいるから、と推測しています。

事実、何歳だろうと素直に取り組む人は、上質な伸びを見せます。

トレーニングの取り組み方次第です。

発声トレーニングの経験がなくても、何も心配いりません。安心して始めましょう。

発声トレーニングの経験があるなら、あるいは年齢を気にしているなら、一日も早く早く始めましょう。

※声のサロンは、良い声で話せるようになる
 ボイストレーニング話し方教室です。
 日本発声協会が認定する話し方発声法の基本、
 共鳴発声法が学べます。
 平日コースと週末コースがあり、フェルマータを会場に
 月2回ずつ開催されています。

 新規に受講をご希望の方は、事務局(メイフェア)まで
 お電話(025-211-7007)ください。

 詳しくはこちらから。
    ↓
https://mf07.com/lecture.html

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新潟市で共鳴発声法の話し方レッスン
ウェブ:https://wsi-net.org/
メール:tenor.saito@gmail.com
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良い声のための最適なエネルギーの使い方(共鳴発声法)

●最適なエネルギーとは最小のエネルギー

 

お腹の使い方に関して、「必要以上に力むのではなく、最小限(最適)のエネルギーで動作する」という説明をしたところ、こんなメールが届きました。

> 仕事のやり方や人間関係なども余計な力を入れずに
> ちょうどよくエネルギーを使いたいなあと思いました。

まさにそのとおりですね。一事が万事、発声トレーニングは生活全般に応用できますね。

「人生に必要な知恵はすべて発声トレーニングから学んだ」になるかもしれません。昔そんなタイトルの本があったっけなあ。

「一を聞いて十を知る」という諺がありますが、この諺を地で行く方が「声のサロン」受講者には多いなといつも感じています。

一方、指導する立場としては、「十を教えてやっと一が伝わる」くらいのつもりで丁寧に指導にあたるのがいいのでしょう。

最適なエネルギーとは、基本的には「必要な最小のエネルギー」を意味します。

10kgのダンベルを持ち上げるのに、10kgのパワーのみ発揮するのが最適です。

9kgでは足りないので持ち上がりません。

20kgでは余分なエネルギーを使いすぎです。拮抗筋でわざと邪魔をしているような、サイドブレーキをかけっぱなしでアクセルを踏んでいるような状態ですね。

20kgのほうは「10kg分も無駄にしている」と意識しやすいのですが、9kgのほうだって「ダンベルが持ち上がらないのだから、9kg分の無駄」です。

「ちょっと足りない」のはすごくもったいない状態だと分かりますね。

やるならしっかりやらないと、「ちょっと試しにやってみる」くらいではもったいない。

発声とは違いますが、たとえば「笑顔」もそうです。あとほんの少しだけ表情筋を使えば相手にハッキリ笑顔と分かる表情になるのに、「ちょっと足りない」顔では笑顔として認識されず、「何を考えているのか分かりづらくて不気味」なんて思われてしまう。

「ちょっと足りないところまでは使っている表情筋のパワー」が無駄遣いになって、もったいない。

中途半端はもったいないんですよね。

やるなら、やる。徹底的に、やる。

──ということですね。

発声トレーニング、徹底的にやっていますか?

 

●最大のエネルギーを一点集中する

 

「できる」ようになる人は、「最大のエネルギーを一点集中」します。

「あれ? 最小のエネルギーが最適なのでは?」と思いましたか?

もちろんそのとおりです。

ただし、それは「肝心な部分に投じるエネルギーを最大化するため」です。

発声トレーニングは相当なエネルギーを要しますから、ほかの活動でエネルギーを浪費していたら、効果を上げるだけのトレーニングができません。

だから、「あれもこれも、やることがたくさんあって大変だ~」と意識が「いっぱいいっぱい」にならないように、最小のエネルギーで上手に「生活全般」をこなしておいて、必要なエネルギーを一点集中で投じる。

つまり、最小のエネルギーで動ければ、「最大のエネルギーを一点集中」という原理原則に従えるわけです。

その時その時に「声のサロン」でしっかり取り上げているテーマに一点集中すると、レッスンやこのブログの内容が「自分のためのレッスン」になりやすいので、お勧めです。

今なら、「共鳴を集める」に一点集中ですね。

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首まわりを冷やさず鼻呼吸(良い声で話すために)

●呼吸は鼻

今、鼻呼吸をしていますか?

良い声で話すには、「共鳴発声法」という技術面が最も大事ですが、ほかにも気をつけたいポイントがあります。

生身の体を楽器にするのが「発声」ですから、体を「発声に適したコンディション」に保ちたい。

特に、声のもとである喉頭原音を生み出す声帯は「冷えと乾燥」に弱いので、気をつけて守りましょう。

長時間話したり、ステージで歌ったりする出番があるなら、直前に乾燥した寒い場所を歩いたり、海風に当たったりしないように気をつけます。

もちろん口呼吸は厳禁。口には鼻と違って、乾燥や異物から身を守る機能がありません。

「呼吸は鼻」が基本でしたね。

 

●マスクとマフラー

良い声のためにぜひ活用したいアイテムもあります。

今は梅雨なので、喉には優しい季節ですが、乾燥しやすい冬はマスクとマフラーが便利です。

以前に奇妙なシーンに遭遇したことがあります。音楽ホールの楽屋口あたりに、やたらとマスク率の高い集団がいたんです。10人中7~8人がマスク着用。

みなさん、出番を待つ声楽家でした。

なるほど、声を大事にすることにかけては、世界一の集団ですからね。

首まわりを温めるのも効果的です。マフラーは便利ですね。

寝るときも、首まわりを冷やさない工夫をするといい。

「声のために」とあまりに神経質になっても不自由ですが、本番前の数日を気をつけて過ごすだけでも、だいぶ違いますよ。

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声のサロン会員登録をお願いします

●声のサロン会員にご連絡です

声のサロン会員の登録フォームを設置しました。

レッスン日の変更や追加レッスンのご案内など、比較的大事な連絡時にこちらからメールを差し上げます。

新入会員には「新入会員用資料」でお伝えしているのですが、ベテラン会員に連絡をしていなかったことに気づきました。

先日は追加レッスンについてこちらのブログでも触れましたが、その直前にメールで案内を受け取っていない方は、会員登録ができていない可能性があります。

こちらに登録フォーム(アドレスの変更・解除フォームも)がありますので、登録をお願いします。
   ↓
https://wsi-net.org/salon_register.html

すぐに自動返信で確認メールが届きます。届かない場合は、セキュリティ設定が原因で迷惑メールフォルダに入っていたり、受信できなくなっていると考えられます。

確認メールが届くまで、セキュリティ設定を変更しながら手続きをしてみてください。

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Se tu della mia morte(貴女が私の死の栄光を)

会員メールは届きましたか?

先ほど「声のサロン」会員にメールで追加レッスンをお届けしました。

届きましたか?

1. 喉あけチェック
2. 喉を開けたまま高音を出す練習
3. 来月の課題曲の予習

の3つです。

「Se tu della mia morte」は発声技術の向上に特に役立つイタリア古典歌曲なので、じっくり取り組みましょう。

 

Se tu della mia morte

 

 

 

良い声で話す方法に才能や向き不向きはあるか

●発声器官はみんな同じ

「私でも良い声になれるでしょうか」と心配する方がいます。

大丈夫。良い声で話すのに、才能も向き不向きもありません。

あなたの発声器官と世界的歌手の発声器官を比べても、なんら違いはないのです。

だから、「生まれつき声が良い」「良い声で話すのに向いていない」などあり得ません。

そもそも私たちの体には、「もともと発声のための器官」は備わっていません。

呼吸のための器官、味覚のための器官、誤嚥を防ぐための器官などを発声のために借用して、いわば本来とは異なる使い方をして、声を出しているのです。

バケツをドラム代わりに使っているようなものでしょうか。

バイオリンの弓を使って指揮をするようなものか。

だとしたら、「このバケツはドラムに向かない」「彼の弓はもともと指揮に適している」などと考えるのは滑稽ですよね。

あなたの発声器官が、ほかの誰かより劣っていると考える理由はひとつもないのです。

 

●違いは発声の技術だけ

違いがあるとしたら、発声技術の違いだけです。

声帯を正しく閉じる技術だったり、咽頭腔を適度に広げる技術だったり、横隔膜を適切に押さえる技術だったりと、技術的な差はかなり大きい。

声帯を正しく閉じる技術がないと、空気漏れの多い嗄声(かすれ声)になって、息も続かないだけでなく、声帯にダメージを受けやすい。

咽頭腔を適度に広げる技術がないと、つぶれて硬い、深みのない声になる。

横隔膜を適切に押さえる技術や共鳴の技術がないと、通る声を安定して発することができない。

このように、発声技術には相当大きな個人差があります。

違いのありかは、体の構造ではなく、技術。

ということは、「トレーニングで伸びていく」ということです。

 

●だから練習あるのみ

発声練習によって、技術は向上していきます。

それも、時間をかけて少しずつ、着実に。

一日で急激に変わることはありません。

スポーツや楽器も、同じですよね。

自転車に乗れるようになったり、鉄棒で逆上がりを覚えたりしたときのことを思い出すと、ある日突然「あ、できた!」と変化した気がするかもしれません。

しかし、実際には水面下でじわじわと上達の積み重ねが進んでいて、ある時点でついに水面から上に出て、「あ、できた」と実感できただけのこと。

0から急に10にジャンプしたのではなく、0から1へ、1から2へと水面下で積み重ねて、ついに10に至ったときに顕在化して「できた」と自覚できたわけです。

声のトレーニングを続けていると、「声がずいぶん変わった」という自覚が定期的に得られます。

しかも、「あの時は変わったと感じたけれど、あんなのはまだまだだった」「あれはまだ、できたうちに入らなかった」とかつての自覚を否定しながら、成長を繰り返していく。

トレーニングを続けている人だけがご褒美として手に入れる悦びですね。

そのたびに、「ああ、あの時にできたと思って油断しなくてよかった」とホッとする安堵感も、続けてきた人だけのご褒美です。

さあ、練習あるのみですよ。練習は裏切りませんからね。

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発声トレーニングをすると得をする? しないと損をする?

●通る声でどんな得をする?

「発声トレーニングをすると、どんな得がありますか?」と質問されることがあります。

「やっぱり通る声が出せたほうが得でしょうか」とも。

こう質問する方は、ゼロベースで考えているのでしょう。

現状をゼロとして、あるいはゼロでなくてもいいのですが、発声トレーニングによってプラスが上に乗っかる、と。

しかし、現実はもう少し厳しい。

「すると得をする」というより、「しないと損をする」のです。

声は毎日使うコミュニケーションの道具であり、しかも聴覚に関わるので、ごまかしが利きません。

言葉では嘘がつけても、声では嘘がつけないからです。

あなたの本性や本心が伝わるので、「できたからプラス」より「できなかったからマイナス」の場面のほうが多い。

だからこれからは、「発声トレーニングをしないと、どんな損をする可能性があるか」と考えてみてください。

 

●「そんな意味で言ったんじゃないのに」

発声トレーニングによって、自分の声をコントロールする能力が高まります。

共鳴を集めようと思えばいくらでも集められる。

力強く飛ばそうと思えば、遠くまで飛ばせる。

雑踏でも通る声を出したいなら、楽に通る声が出せる。

ところが、発声トレーニングをしていないと、声が遠くまで届かないから叫ぶように声を張り上げ、剥き出しの生っぽい声になったり、やたらとうるさい声で怒鳴ってしまったりする。

雑踏では声が通らず何度も聞き返されるから、会話をあきらめなければならない。

相手に本意を誤解され、「そんな意味で言ったんじゃないのに」と悔しく感じたことはありませんか?

声のコントロールができていないせいで、意図とは違うニュアンスが声に乗った証拠です。

大好きな人に声をかけたら、共鳴の集め方が下手なせいで、「キツイ声」「なんか気が強そう」と思われてしまうかもしれない。

だとしたら、うかつに返事もできない。

仕事ならクロージングの段階に至りながら、声の支えが弱いと、「信頼できるかな。もうちょっと考えてみたほうがいいかな」と迷われてしまうかもしれない。

本気で誠実に話しているのに「もう少し考えてみます」と断られるケースが多いなら、すでにかなりの損を重ねている可能性がある。

つまり、「発声トレーニングでどんな得をするか」どころか、「発声トレーニングをしないと、知らないうちに大変な損をする」わけです。

あくまでも「どんな得が?」と聞きたいなら、「これ以上損を重ねないという得」が答えです。

声で損をしないために、共鳴発声法はしっかり身につけておきましょう。

 

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伝わりやすい話し方 vs. 癖のある話し方

●「気づきがありました」

先日、こんな質問がありました。

> 「気づき」という言葉は辞書には載っていないのに、
> 職場でよく使われています。
> どういう言葉なのでしょうか。

確かに、ここ数年よく見聞きするようになった言葉ですね。

「先日の勉強会に参加して、たくさんの気づきがありました」のように使われます。

「気づいたことがたくさんありました」
「勉強になりました」
「発見がいくつもありました」

といった表現なら不自然な響きはありませんが、「気づき」は確かに妙な引っかかりがあります。

それもそのはず、自己啓発の分野で使われだした独自の用語だからです。

ついでなので、ちょっと日本語の勉強をしましょうか。

動詞の連用形を「動詞の名詞化」として用いるのは、日本語の一般的な用法です。

「走り」「学び」「○○集め」のような用法ですね。

先ほどの「引っかかり」もそう。

「踊り」「試し」あたりになると、「動詞の連用形」の香りはなくなり、完全に名詞になりきっていますね。

だからといって、何でもかんでもこの調子で名詞化して通じるわけではなく、「俺の“泳ぎ”を見せてやる」なら自然ですが、「俺の“食べ”を見せてやる」はおかしいでしょう?

「泳ぎ」は連用形からの名詞化として定着していますが、「食べ」は定着していないからです。

この場合、「食べっぷり」と別の言葉に置き換えれば、さほど不自然でない話し方になります。

同様に、最近たまに見聞きして、そのたびに頭の中で変換が滞るのが「見える化」。

でもこれは、日本語の造語法から完全に外れており、明らかに特殊な言葉と分かるので、「……と私は呼んでいます」程度の用語と解釈して流せます。

「可視化では堅苦しいので、分かりやすく“見える化”と呼んでいます」と説明されたら、なるほどと納得できるでしょう。

ところが「気づき」は、どことなく普通名詞っぽい雰囲気を漂わせているから、余計に違和感があるのでしょうね。

「気づき」に引っかかるその感覚、良い言語感覚だと思います。

もっとも、語彙はこうして少しずつ変化していくので、もしかして30年後には、ごく自然な言葉として日本語の仲間入りをしているかもしれません。

良い話し方は、「伝わりやすい話し方」です。「癖のある話し方」に気づいたら、自然な言い方に言い換えるトレーニングをしてみましょう。

わざと癖のある言い方で引っかかりを作り、何かを伝えようとするテクニックもありますが、上級者向けです。

ほかにも何か、言葉に関する“気づき”があったら、ぜひ聞かせてください。

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日本語の高低アクセントを攻略しよう(喉で音程を取らない)

●ポイントは「喉で音程を取らない」

日本語は高低アクセントの言語です。

だから私たちが話すときは、声の高低(ピッチ)をコントロールする必要があります。

英語のような強弱アクセントの言語とは、かなり事情が異なります。

英語の「desk」と日本語の「デスク」を比較してみましょう。

英語のほうは母音が「e」しかないので、ここが強く発せられます。日本語と比べて、自然に「気持ち長め」になりますが、長さは必須の条件ではありません。

短めに発しても、長~く「デェスク」のように発しても、意味の区別はない、ということです。

日本語の「デスク」は、「デ」が高く、「スク」が低くなります。ただし、「ス」が無声化するケースが多いので、感覚的には「デス」がかたまりで高く、「ク」で下がるように感じられるかもしれません。

英語の「desk」と日本語の「デスク」の顕著な違いは、前者が「強い母音」としてしっかり発せられるのに対し、後者の「デ」は強弱に関して無造作に発せられるところ。

「しっかり発する」と「無造作に発する」の違いは、どこに現れるか。

「音程の取り方」です。

しっかり発しようとすればお腹(横隔膜や腹部周辺の筋肉)を使い、無造作に発しようとすれば喉で音程をコントロールするようになります。

だから日本人は、喉で音程を取って話す「喉声タイプ」が多いのです。

 

●喉で音程を取らない、お腹で音程を取る

共鳴発声法で「喉で音程を取らない」感覚を身につけましょう。

声楽家や歌を習ったことのある方なら、指導者から「喉で音程を取らない!」「お腹で音程を取る!」と言われた経験があるでしょう。

世界中の声楽家たちが、修業時代にたいてい指摘を受けるこのポイントですが、私たち日本人は特に下手なのだそうです。

音高(ピッチ)の変化は、声帯の形状(長さ)を変化させることによって生じるので、この点を捉えて「喉で音程を取っている」と表現しても解剖学的には間違いではないかもしれません。

しかし発声的には、つまり「良い声で話す」という目的にとっては、間違いです。

声帯をコントロールするために、声帯をダイレクトに操作しようとすると、不適切な力みが生じたり、喉頭が上がったり咽頭腔がつぶれたりして、「声の質」が低下します。

意識するのは喉ではなく、喉を抜いた「上と下」。

この「下」がお腹であるわけですね。

 

●声の質がどう低下するか

今、「喉で音程を取ると、声の質が低下する」と言いました。

具体的には、どうなるのか。

二例挙げます。

まず、「生っぽい喉声になる」。

歌で高音が出てきたとき、「裏声に逃がさないで」と言われて喉で持っていこうとすると、苦しいような、平べったいような、幼いような、剥き出しのような、声になりますね。

それです。

もう一例は、「気の強さを思わせる鋭さを帯びる」。

早口のマシンガントークで、高アクセントがキュッと裏声ぎみになる話し方、分かりますか?

「だから、そう言ってるでしょ!?」

文頭の「だ」、「言ってる」の「て」、最後の「しょ」を思いきり高く、裏声ぎみに読んでみてください。

そう、この感じです。

お腹で音程を取るようになると、このような発声を卒業して、艶のある澄んだ大人の声を身につけることができます。

というより、お腹で音程が取れるようになってから、声を磨いていくんですけれどね。

 

●「イイ腹してる」が褒め言葉

ある声楽家がこんな話をしていました。

歌が上手な人に向かって「イイ喉してるね~」と褒める習慣が元凶だ。だからみんな喉で声を出すと思い込む。「イイ腹してるね~」と褒めないといけない、と。

いいですねえ、「イイ腹してる」。

発声は、頭で考えながらコントロールするのではなく、体が適切に動くまでひたすら練習を繰り返す点で、楽器の演奏やスポーツに似ています。

日々のトレーニングで、あなたの技術は着実に高まっていきます。

トレーニングは「積み重ね」ですからね。

毎日のトレーニングで、良い声の「貯金」をしているようなものです。

もちろん、「正しいフォームで、適切なポイントを意識しながらのトレーニングであれば」という条件はありますが、トレーニングに割いた時間が「良い声貯金」として積み立てられていきます。

良い声をしっかり貯めていますか?

お腹で音程を取るトレーニングの分も、しっかり貯めていきましょうね。

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声を聞く能力を高めよう(共鳴発声法)

●声は「好み」か

発声トレーニングをしたことのない方から、「良い声とか悪い声って、音楽と一緒で、最終的には好みの問題ですよね」と言われることがあります。

確かに、音楽と同じです。バイオリンの音でも「ハイフェッツよりオイストラフの音が好き」「私は絶対ハイフェッツ」という具合に、最終的には好みの問題になります。

ただし、あくまでも「最終的には」です。

そこに至るまでには、「良し悪し」が確実に存在します。

私が弾くバイオリンを聴いて、「ハイフェッツより、あなたの音のほうが好きだな」という人がいたら、それは好みの問題ではなく、「バイオリンを聴く耳ができていない」ということになります。

そこを「好み」で押し通してしまうと、物事が質的にレベルアップしません。

「好き嫌い」を持ち出されてしまうと、それ以上何も言えない思考停止に陥りますよね。

「みんなはやめておけって言うけれど、いいの。私は彼が好きだから」みたいに。

いや、こういうのはべつに好き嫌いで構わない。

しかし上質なものを目指すなら、習い事でもスポーツでも、「好み」を持ち出すのは最後の最後です。

何かの指導者なら、みんなよくご存じでしょう。

バイオリンの先生が生徒にダメ出しするとき、「好き嫌い」ではなく「良し悪し」で判断しているはず。

バイオリンの指導者が10人いて、ハイフェッツの演奏と私の演奏を聴いたら、10人が10人とも「ハイフェッツのほうが良い」と言います。

全員で示しあわせて基準を共有しているわけではないのに、確実にそうなります。

もし「あなたの音のほうが好き」なんて言う人がいたら、その人は残りの9人から「えっ!?」という目を向けられ、バイオリンのプロとしての信用をなくします。

いくら私が「最終的には好みの問題なんだから、この音でいいじゃないか」と主張しても、どうにもなりません。「だったらせめてもう少し高いレベルに達してから主張なさい」とたしなめられるだけでしょう。

発声も同じです。身体という楽器を使った演奏である以上、「良し悪し」が必ずあります。

 

●声を出すのも聞くのも職人芸

演奏家と同様、発声も一種の「職人芸」的なところがあります。

声色を使って物まねをする芸のことではありませんよ。

たとえば、声帯という発声器官は、肺からの呼気をできるだけ効率的に振動に変えるのが、良い使い方です。

あなたは声帯を使いこなせていますか?

スカスカ空気漏れはいけません。空気が無駄に漏れたら息も続かないし、「声の限界」が低くなってしまう。

ところが、空気効率が高まれば高まるほど、充実してパワフルな喉頭原音を持て余し、「強い声」「キツイ声」になってしまうことがある。

本来はそこで呼気コントロールと共鳴コントロールによって声質を使い分けるのが良い発声法なのですが、発声法を知らない人は「囁き声っぽい発声に逃がして和らげる」対処をしてしまいがちです。

歌で高音が苦手な人が、「あ、無理かも」と思うとすぐに裏声に逃がそうとするようなものでしょうか。

お手軽な対処法に逃がしやすいんですよね。

イメージでいうと、「絹糸のような声」は良い声、「綿菓子のようにふわふわして芯がない声」は良くない声。

声帯をちゃんと閉じつつ、呼気を適切にコントロールして、乗せる共鳴によって「声の色」を使い分けるのは、さしずめ職人芸です。

気の遠くなるほどの繰り返し(トレーニング)によって、技術を身につけていきます。

楽器の演奏もそうですね。「気の遠くなるほどの繰り返し」が不可欠です。

発声トレーニング、毎日していますか?

 

●出せる声のみ、聞き取れる

トレーニングによって良い発声ができるようになった人は、声を聞き分ける耳も手に入れます。

声は、自分で出せるようになって、はじめて聞き取れるようになります。

これが「出せる声のみ、聞き取れる」という法則です。

喉の開いた声が出せるようになると、他人の声を聞いて喉が開いているかどうかを聞き分けることができる。

横隔膜のコントロールができるようになると、他人の発声を聞いて横隔膜をコントロールしている様子を感じ取ることができる。

外国語を熱心に勉強した方なら、経験的に知っているでしょう。自分がナチュラルスピードでしゃべれるフレーズは、聞き取れる。「知識として知っているフレーズ」ではありません。音声として発することのできる言葉やフレーズです。

そういうものなんですよね、声は。

そのせいで、発声トレーニングを始めると、以前にあった「声の好み」が変わります。

「良い声」の感覚も、変わります。

今まで聞こえていなかった美点が聞こえるようになったり、今まで聞こえていなかった粗が耳についたりするからです。

「子供の頃は大好きだった歌手の歌が、聴いていられなくなった」と話していた声楽家がいました。

実は私も似た経験があります。

ATMやコンビニ入り口で流れる「いらっしゃいませ」などの合成音声について、発声の専門家が「不気味でしょうがない」と話していたのですが、私はべつに不気味とは感じなかったんです。

「う~ら~め~し~や~」みたいな台詞でもないのに、不気味とはどういう意味なのだろうと、むしろ不可解でした。

「またまた、大袈裟な」という感じ。

ところが、発声を学びトレーニングをするうちに、いつしか「違和感」を覚えて居心地が悪くなっていました。

「ちっとも大袈裟なんかじゃなかった。自分に聞き分ける能力がないだけだったんだ」と愕然としつつ、耳を手に入れたと嬉しくなったのを覚えています。

現代人は合成音声に耳が慣らされ、麻痺しているそうです。

「声を聞く耳の力」を取り戻すのも、発声トレーニングの効能ですね。

さあ、今日もトレーニングしましょう。

 

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 ボイストレーニング話し方教室です。
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