上手な「断り方」が自分の時間を増やしてくれる

●上手に断る方法を教えて

「断り方」に悩んでいる方は少なくありません。

「飲み会への参加を断る上手な断わり方を教えてください」と「会話に関する質問」に書いてくれた方もいますね。

特に自分の大事な取り組みがある人にとって、時間を奪われてしまう「あまりプラスにならない会合」には参加したくないのが本音でしょう。

冬になると、忘年会やら新年会などが増えて、相談を受けるケースが増えてきます。

断り方の原則として、次の3つを守ってみてください。きっとうまくいきますよ。

  • 言葉はやわらかくても、態度は断固として
  • 一貫性を持たせる
  • 否定しようのない理由を添える

たとえば、「忘年会への参加を断る」とします。

「出たくないんです」のようにストレートな言い方では、角が立ちます。

「え、なんで?」と聞かれますよね。それが面倒くさくて、しょうがなく参加してきたのでしょう?

言葉はやわらかく、が原則。ただし態度まで「えぇ~っ、でもぉ……どうしようかなあ……」なんてやっていると、「迷える程度の理由で断ろうとしているのか」と不審に感じさせてしまいます。

また、「一貫性」はきわめて重要です。「一貫性を持たせるための説明」を考えましょう。

「お酒を飲みたくないので、上司にそう言ったら、乾杯だけは付き合いなさいと言われて、それ以来ドタキャン」

ドタキャンなんかして大丈夫ですか? 繰り返したら余計に叱られるでしょう。

「飲みたくない」なんて理由がよくないんです。一貫性を持たせるためには、「体質的に飲めない」のような永久に使い続けられる理由を伝えないと、次回以降ずっと新しい口実を考えなければなりませんよ。

うっかり乾杯に付き合った回があったなら、今さら「体質的に」は使えないので、「ドクターストップで」あたりが使えます。

理由を聞かれても「はい、ちょっと……」で濁せます。

こういった理由に対して「そんなの大丈夫でしょ」と無理強いする人はいないでしょう。

まあ実際にはいますが、そういうケースはまた次の手を考えればいい。

まずは原則を押さえておきましょう。

最後に「否定しようのない理由」として、たった今すごく良い例が届いたので、ご紹介しますね。

> 所属している部署の忘年会に参加する予定にしていました。
> 退職される方がいるので送別会も兼ねるのかな、
> と思ったためです。
>
> ところが送別会はあらためて行うと知ってから、
> 不参加に変更しようか迷っていました。
> 仕事も忙しいし、お酒の席は好きではないし、
> 気持ちいい会話が飛び交う場になりそうにもない。
> でも、今さら断りにくい上に、20名弱の組織で女性が5人だから、
> 私が行かないとなんとなく会が寂しくなるかな、
> などといろいろ考えていました。
>
> ところが、誰に聞かれても堂々と言える偽の急用を思いついたのです。
> 「妹に頼まれて赤ちゃんの世話にいく」です。
> とたんに心に余裕ができ、あっさりと断ることができました。

なるほど、うまいですね。
「妹に頼まれて赤ちゃんの世話にいく」という口実に対して、「べつに行かなくてもいいでしょ」とは誰も言えません。

ほかに似た──汎用性の高い──口実に「親の介護」があります。

個人の都合や好き嫌いにとどまらない、他者が関わる理由で、しかも古典的な「不幸があって」と違って何回でも何年にもわたって使える点で秀逸です。

「親なんかいいじゃない。一晩ぐらいほうっておけば」とは誰もいえませんよね。

 

●「来られないんでしょ?」と言われたら大成功

おもしろいもので、こういった会合(忘年会やら新年会やら)が積極的に好きな人は意外に少ないようです。

大人になればなるほど、「時間がもったいない」と億劫に感じるようになるらしい。

なのに、「毎回いちいち断る口実を考えるのが大変だし、断ると迷惑をかけているかも、どう思われているのかな、と考えてしまうのがストレスだから、仕事のうちと割りきって参加している」人が多いようです。

一部の人たちがわ~っと盛り上がると「みんながそう」に見えるんですよね。「みんなが年末の忘年会を楽しみにしている」と。

でも、実際は違う。

マスメディアが取材したりニュースになったりする物事を考えれば、「目立って見えるのはむしろ一部の特殊な人たち」とわかる。

ハロウィンの夜には若者がみんな渋谷に集まるように錯覚するし、年末年始には日本人みんなが大きなスーツケースを転がして成田空港にいるように見えるし、ゴールデンウィークの終わり頃には日本人がみんな高速道路の上でイライラしているかのように思える。

しかし、若者の大多数は渋谷に集まらないし、日本人の大多数は年末年始に日本にいるし、日本人のほぼ全員が高速道路以外の場所にいる。

「風潮」に飲まれることなく、素敵な時間を確保したいですね。

こうして話し方や発声、コミュニケーションを学び、トレーニングをしているあなたにこそ、「波風を立てずに、風潮に合わせる」のではなく、あえて多少の波風を立てたとしても、素敵な時間を確保できるように「断わり方」の技術を高め、しかも実践していただきたい。

毎回「断わる口実を考えるのが面倒」なのは、なんとなく風潮に飲まれて参加したりしなかったりと揺れるから。

最初から「来られないんでしょ?」と聞かれるようになったら、うまい「断わり方」が功を奏している、ということです。

毎回律儀に参加している人ほど、よんどころない事情での欠席なのに「義理を欠く」「こういう場には出なさい」などと責められ、出ないのが当たり前になっている人は、「お世話になった方の送別会だから挨拶だけ」と顔を出したら「律儀ですね。ご丁寧にありがとうございます」なんて喜ばれる。

なにより、大切なトレーニングに充てる自分の時間を毎日確保できるようになるのがプラスです。

みんなが酔っぱらって騒いでいるような場に身を置くより、素敵なお茶会で素敵な会話のトレーニングをするほうが話し方の指導者としてもオススメです。

「断わり方」──気にしてみてください。

「えっ、今回も来られないの? なんで?」はまだ断わり下手。最初から「来られないんでしょ?」と聞かれるようになったら、真の断わり上手といえるでしょう。

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