弾き歌いにはどんな楽器が向いているか(共鳴発声法で弾き歌い)

●弾き歌いの伴奏楽器に必要な条件とは

「弾き歌い」について立て続けに書いていますね。

今までブログに書いたことはなかったのですが、こんなに反響があるとは予想していませんでした。

弾き歌い大好き人間の私としては、「共鳴発声法で弾き歌い」をする方が増えてくれたらうれしいので、調子に乗って書きまくっています。

前回、「どんな楽器にもメリットとデメリットがある」として、候補に挙げてくださった楽器についてメリットとデメリットの両方をお話ししましたが、デメリットにも触れたせいで「オススメとはいえない」という印象を与えてしまったかもしれません。

まったくそんなことはありません。私が弾き歌いをしたことのある楽器はアコーディオンとギターとウクレレですが、どれもオススメです。一から始めるなら、ウクレレは最もオススメです。

とはいえ確かに、どんな楽器でも良いわけではなく、楽器の特性によっては弾き歌いの伴奏に向く向かないはあります。

今日は「弾き歌いの伴奏楽器に必要な条件」について考えてみましょう。

だいたい次の条件が揃うと、弾き歌いに有利かなと思います。必ずしも全部が揃わなくても、いくつか満たせば弾き歌いができるのではないでしょうか。

①和音が出せる
②楽に弾ける
③リズムが刻める

一つずつ見ていきましょう。


●和音が出せる

やはり伴奏をするからには、和音がほしいですね。

ピアノやギターのように和音が得意な楽器は、弾き歌い向きです。

バイオリンについて、「顎で楽器を支えるから、歌にとって有利とはいえないが、工夫すればできそう」「多くの人がやっていないスタイルほど、やりがいがある」なんて言いましたが、「和音が苦手」という特性ゆえに、難しいのは確かでしょう。

バイオリンも重音といって2音ないし3音を同時に鳴らすことはできますが、得意とはいえません。

単音でも、歌と掛け合いのような演奏はできますが、「2人でそれぞれ違うメロディーを歌う」のを一人二役するようなものなので、難易度はかなり上がります。

輪唱の一つのパートを歌い、別のパートを楽器で弾くようなイメージですから。

「和音が出せる」は、ぜひ満たしたい条件です。


●楽に弾ける

どんな楽器も本格的に取り組めば「簡単な楽器」なんて無いと思いますが、「わりと手軽」な楽器と、始めるハードルが高い楽器はありますね。

ウクレレやアコースティックギターは比較的ハードルが低く、パイプオルガンはハードルが高いでしょう。

新潟にはりゅーとぴあにすばらしいパイプオルガンがありますが、私が今から始めて数年でそこそこ弾けるようになるとは思えない。

「楽に弾ける」という、楽器をナメているような条件を挙げましたが、あくまでも「弾き歌いの伴奏楽器として」という意味です。

弾き歌いは一人二役なので、2つの役割が両方とも難し過ぎたら、厳しいでしょう。楽器に全力を尽くしてしまったら、歌えません。

演奏に要する「意識の割合」をできるだけ低く抑えられれば、弾き歌いが現実的になります。

ピアノでも、クラシック音楽を楽譜どおりに弾くには意識のかなりの割合を「持っていかれそう」ですが、簡略化してコードで押さえたら意識の割合が下がり、歌いやすくなるはずです。

ギターやウクレレは、「コードを押さえてストローク」なら、すぐに慣れるでしょう。しゃべりながらでも弾けるくらいになれば、もう弾き歌いができるレベルです。

感覚的には「3割の意識」ぐらいで気軽にさらっと弾ける状態になると、弾き歌いが楽に、楽しくなります。


●リズムが刻める

リズムを刻むのが得意な楽器と、そうでもない楽器があります。

歌の伴奏には、リズムを出せるほうが役に立ち、しっくりきます。

和音もメロディーもない打楽器でも、歌に合わせてリズムを刻むだけで、なんとなく馴染むのは、やはり音楽にはリズムが大事だからです。

リズムは「音楽の3要素」の1つですからね(残りの2つはメロディーと和音)。

バイオリンや二胡などの擦弦楽器(弓などで弦をこすって鳴らす楽器)は、リズムは苦手ですね。弓を跳ねるような奏法で可能ではありますが、アタックが弱いのでリズムが明瞭になりにくい。

ギターのような撥弦楽器(弦をはじいて鳴らす楽器)は、アタックがしっかり出せるので、リズムは得意です。ストロークでチャッチャッと刻んだり、ボディを指で叩いたりすれば、もうほとんどリズム楽器です。

ピアノもリズムは余裕で刻めます(ピアノってスゴイ楽器ですね)。


●歌は共鳴発声法で

ざっくりですがこうして分析・検討してみると、ピアノとギター(ウクレレ含む)が弾き歌い(弾き語り)に多く使われてきた理由がわかりますね。

実際、ピアノ、ギター、ウクレレは、弾き歌いがしやすい三大楽器で、弾き歌いをしている人口は多い。

ストリートで弾き語りをしている人はたいていギターですね。

見方を変えれば「どこにでもある、ありふれたスタイル」ともいえる。

「だとしたら面白みがない」と感じますか?

でも、ご心配なく。あなたの弾き歌いが「ありふれたスタイル」にならない理由がちゃんとあるからです。

それは、「共鳴発声法」。

日本発声協会も採用するこの発声法を習っているあなたは、声が違います。

マイクなしで通るしっかりした発声で、生の声で、しっかり歌いながら弾き歌いをする人は、きわめて少数しかいません。

ピアノが弾ける人は世の中に大勢います。ギターの達人も大勢いる。どうやって弾いているのか間近で見てもわからないような超絶技巧の持ち主も、何人も知っています。

しかし、「発声」は別。

あなたは発声トレーニングで日に日に声の質を、声の価値を高めています。

「声のサロン」「音色塾」が勧める弾き歌いなのだから、声を大切にしたスタイルです。

先日、「楽器の演奏家がコンサートで、たわむれに歌を混ぜたら、しくじった」ケースを紹介しましたね。発声は自分の体を楽器にして、しかも使いこなさなければならないので、楽器店に並んでいるような、すでに出来上がっている楽器とは違います。

ちゃんとトレーニングして、技術を身につけて、体も作らないと、たとえば「ちょっと高い音になると、顔を歪めて叫ぶような調子になる」「演奏効果としてではなく、出せないからという理由で裏声に逃がし、流れの断絶が起こる」といった弾き語りになってしまいます。

あなたは共鳴発声法で、しっかり歌うのだから、それだけでもう「どこにでもある、ありふれたスタイル」ではありません。

すでに弾き歌いを始めた方は、「発声技術の向上によって、弾き歌いを質的に高めていく」のがいいでしょう。

せっかく時間をかけて取り組んでいくのだから、難しいけれど年々クオリティが高まっていくような、素敵な弾き歌いをしていきましょうね。

さあ、始めますよ。

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弾き歌い用にウクレレかギターを手に入れよう

●ウクレレかギターを手に入れよう

みなさん動きが早いですね。

「ウクレレはどんなのを買ったらいいですか」「クラシックギターを買うとしたら、いくらぐらいのがいいでしょうか」といったお問合せをいただいています。

弾き歌いについて記事を書いてきて、実際に始めてみようと動き出そうとしている方には楽器の選び方について僭越ながらアドバイスしようかと思っていたら、中には「ウクレレ買いました!」なんて方もいて、ビックリ。

早い!

そこで、「歌をメインとする弾き歌いのお供」としてのウクレレ、ギターの選び方についてお話ししますね。

すでに購入済みの方は、お手元の楽器と食い違うようなことが書いてあっても、ご心配なく。大事なのは「とりあえず始める」ことであって、「始める」ことに決めたのであれば、あとはなんとでもなります。


●ウクレレの選び方

さて、まずはウクレレから。

ソプラノ(最も一般的)またはコンサート(少し大きめ)というサイズのウクレレで、安いものをまずは手に入れましょう。

「安い」というのが難しいですね。自分の中に基準がないと、5千円が安いのか、5万円が安いのか、わからない。

「いやいや、5万円は高いでしょ」と言いたいけれど、楽器ならそのくらいは普通なのかもしれないから怖いんですよね。

ご心配なく。数千円のウクレレで十分です。コンサートウクレレでも7千円、8千円くらいの楽器がいくらでもあります。

楽器店で見たり触ったりして、どうしても気に入ってしまったら、1万8千円くらいまでなら出してもいいかな。でも、これから初めてウクレレを始めるというのに、15万円なんて楽器は検討しないようにしましょう。

やっぱり楽器ですから、良いものは良いんです。良い音がするし、長く鳴る。だから、楽器屋さんも「いや~、やっぱ良いものは良いっすわ~」と高い楽器を並べてくれたりする。鳴らして聴き比べると、「確かに違いますね」と感じて、欲しくなるかもしれない。

しかし、それはまた、仮にウクレレにどっぷりハマって、コレクションでも始めたくなったり、一生のお付き合いをする楽器を思いきって手に入れたくなってからでいいではありませんか。

それより、「せっかく買うならちょっと良いものがほしいから、また今度にしよう」と決断を先送りにするほうがもったいない。

「なにはともあれ、とりあえず始める」のがいい。私としては、ウクレレの弾き歌いに挑戦したいのに楽器の入手に躊躇している方には、「どれでも好きなウクレレを一本持っていっていいですよ」と差し上げてもいいくらいの気持ちなんです。

気持ちは。

でもそうなるとレッスンで使う楽器が無くなってしまうから、なんとか自前で用意してください。

数千円でOKと聞いて、少しは安心しましたか?

ちなみに、値段以外の要素としてペグに触れますと、「ギアペグ」タイプのものがオススメです。ペグとは、弦を巻いたり緩めたりしてチューニングする部品のことです。

ギアペグとは、歯車が付いているタイプで、裏から見ると歯車が見えるのですぐにわかります。外見的な特徴としては、ヘッドの部分からつまみが横に飛び出している。

これに対して、もともとはウクレレのペグといえば「ストレートペグ」でした。ギアが付いてない、つまみを回した分だけダイレクトに弦が巻かれるタイプで、バイオリンと同じですね。

このタイプはチューニングが難しいんです。ちょっと回すだけで音がグンと高くなったり低くなったり。ペグ自体が固まったり緩んだりして、ドライバーが必要になったりもします。

ストレートペグは、つまみが横ではなく裏に飛び出しているので、前から見たときにスッキリしていてイイですね。また、金属の部品が少ない分、軽い。ウクレレの魅力の一つが「小さくて軽い」ことなので、ストレートペグのほうが「ウクレレらしい」スタイルだとは思います。

ペグははっきり言って「好み」ではありますが、しかしこれから始める方にとって、チューニングの簡単さ、正確さはそんな魅力を補って余りあるメリットです。

チューニングについてはまた機会を改めてお話ししようと思っていますが、「迷ったらギアペグ」がいいでしょう。


●ギターの選び方

続いて、ギターです。

弾き歌いのギターとしては、アコースティックギター(フォークギター、鉄弦ギター、アコギ)と、クラシックギター(ガットギター)が候補になるでしょう。

本来の「アコースティック」は「音響的な」→「電気的な装置を使わない」という意味なので、クラシックギターもアコースティックなのですが、「アコースティックギター」というと、スチール弦を使うフォークギターを指すのが今は一般的です。

さて、ではどんなギターをお勧めしたいかというと、「小さめのクラシックギター」です。

少しギターに触れたことのある方ほど、「クラシックギターは格調高くて、ちょっととっつきにくい」「アコギのほうが気軽にジャカジャカ鳴らせる」と感じているのではないでしょうか。

確かにそのとおりですね。街で「ギターで弾き語り」をしている人はたいていアコースティックギターです。

シャーン、ジャーンと鳴るあの感じ、音の伸び、そして音量。コードを押さえて掻き鳴らすだけで、なんとなく格好がつく。私も学生時代はもっぱらアコースティックギターを弾いていました。

ただ、「あきらめて手離す人が多い」のもまた、アコースティックギターの特徴ではないでしょうか。

「簡単なコードを押さえてジャカジャカ」のレベルで物足りなくなり、次のレベルを模索したときに、途端に難易度が急上昇するのが、アコースティックギターなんですよね。

そして、指が痛い。これは大きいと思います。弦の張りが強いくせに細いので、左手の指が切れそうになる。そして指先がタコのように硬くなる。

「早くもコードFのセーハで人差し指の痛みに耐えきれず挫折」というケースもめずらしくないようですよ。ということは、「わずか数日」でしょう。

手や指への負担は小さいほうがいいですよね。歌がメインなのだから、指が痛い、手が疲れた、楽器が重い……といった余計な要素はできるだけ無くしておきたい。

すでにアコギに馴染んでいる方はともかく、これからギターに触る方のための「弾き歌いのお供に末永く付き合っていきたいギター」としては、「小さめのクラシックギター」にローテンションの弦を張って弾くスタイルがオススメです。

優しくて(簡単という意味ではありませんが)、やわらかくて、体が楽です。


●ミニギターという弾き歌いのベストパートナー

ギターは大きいので、ウクレレよりは値段が高くなります。

それでも今回の用途では2万円以内で探せるといいですね。私が初めて買ってもらったアコースティックギターが1万6千円ぐらいだった気がします。

ギターをソロで演奏していこうと思うなら、もう少し高いのをと勧められるかもしれません。ギター教室で先生に尋ねたら、「初めはこのくらいから」とたぶん5万円ぐらいのギターを紹介されるでしょう。

ウクレレと同じで、楽器だから良いものは鳴りが違うのは確かです。だからこそキリがないし、踏ん切りがつかないのはもったいないので、とにかく手に入れてスタートしてしまうのがいい。

先ほど「小さめのクラシックギター」と書きましたが、もう少し手がかりになる話をしておきます。

弦長480mmとか580mmといったサイズのクラシックギターがあります(標準は650mm)。「ミニギター」「ショートスケールギター」といった言葉で楽器店に問い合わせれば、きっと見つかります。

子供用として成長に合わせて複数のサイズが用意されたわけですが、大人でも体格や好み、用途に合わせてこういったギターを好んで使っている方が結構います。

見た感じとしては、480mm(1/4サイズ)はすごく小さくて(このサイズ感が妙に好き)、パッと見「おお、小さい」とわかります。

580mm(3/4サイズ)は標準サイズより一回り小ぶりかな、という感じ。ギターを見慣れていない方はたぶん気づかない。でも並べて比べると「やっぱり小さいんだな」とわかる。

その中間に530mm(1/2サイズ)というのもあります。

私はアリア(Aria。メーカー名です)の480mmスケールを初めて見たとき、「なんだ、この素敵な楽器は!」と一目惚れしました。小型なのにギターとしての機能がちゃんと揃っている。ギターに限らず、精巧なミニチュアって「ちゃんとドアが開くミニカー」みたいな魅力があって、なんかイイんですよね。

ただ、小さい楽器ほど、チューニングは甘く(不正確に)なります。フレット(弦に対して直角にたくさん並んでいる金属の棒)の間隔も狭くなるので、指が窮屈になります。

また、「小さいほど軽くて便利」というわけにはいかず、体格に対してあまり小さい楽器は安定せず、良い姿勢が保ちにくいので、フォームに工夫と注意が要ります。

480mmに一目惚れしたと言いましたが、使いこなせるのは小柄な女性でしょう。私は480mmスケールのアリアが大好きでよくいじりますが、「楽に弾ける」のは580mmスケールのギターです。

高い楽器に手を出さない姿勢には、「気軽に何本か所有して試していける」メリットがあると思います。

いきなり思いきって10万円弱ぐらいの楽器を買って「私はこれを一生のパートナーとするんだ」と誓ったとしたら、「もう少し小さい楽器がほしかったのに」「もう少し大きい楽器も試してみたい」と思っても、もう身動きが取れないではありませんか。

「3年ぐらい弾いたら、また次のギターを考える」「同じギターを買い足してもいいかな」くらいの気軽さで(実際には次のギターなんて買わなくていいんですよ)、小さめでしっくりくるものを手に入れてみてください。

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「ウクレレとギター、オススメの教本はありますか?」(弾き歌い)

●オススメの教本は?

ウクレレを初めて手にした方から、「オススメの教本はありますか」とご質問をいただきました。

どんな教本でも一通りの基本は押さえてあります。適当にピンときたものを買っていいと思いますよ。

ウクレレのソロ演奏をバリバリやれるようになりたい、というなら吟味したほうがいいでしょうけれど、「歌をメインとする弾き歌いのお供」ですから、「この教本にしか書いていないウクレレの奏法テクニックが必要」なんてことはありません。

1冊ご紹介しておきますが、すでに何か購入済みであれば、新しく買い直さなくても結構ですよ。ただ、声のサロンや音色塾の会員で「レッスンでするとおりに正確にみっちりやりたい」という方は、持っていて損はないでしょう。

『メロディ→伴奏→ソロの3ステップ方式でソロウクレレを誰でも弾けるようになる本』(佐藤 雅也 著/リットーミュージック・ムック)



●ギターの教本は……

ギターの教本にも、良いのがあります。

『これで弾ける クラシック・ギター奏法マスター【初級編】』(平倉 信行 著/ドレミ楽譜出版社)

先ほど確認したらすでに絶版になっているようでガッカリしかけましたが、いろいろなところでまだ手に入るようなので、こちらをオススメとしておきます。

●ただし「弾き歌いの教本」ではありません

ただし、ウクレレもギターも「弾き歌いの教本」ではありません。

軽い「弾き語り」用なら、J-POPなどの楽譜がいくらでもあるのですが、あなたに挑戦していただきたいのはそういうものではなく、しっかりした発声(共鳴発声法)で歌う「弾き歌い」です。

だから、教本はないのです。

以前の記事で、
「楽器やジャンルによっては『世界に数人しかいない活動』にもなりうる」
「たとえばアコーディオンを弾きながらナポリターナを歌う人は、全国でも数名もいない」
とお話ししましたね。

あなたが取り組むのはそういう活動です。教本などあるわけがありません。

そんな稀で難しい活動のための「パーツ」として、各楽器の基本的なテクニックを身につけるための教本だと思ってください。

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ウクレレとギターのチューニング(弾き歌い)

●チューニングはできるようになりましたか?

ウクレレかギターを手に入れて弾き歌いへの挑戦を始めたあなた、楽器のチューニングはできるようになりましたか?

今は電子チューナーという便利なものがありますが、チューナー無しでもチューニングができるようになったほうがいいですよ。

その理由について今日はお話しします。

これだけ電子チューナーが普及し、プロの演奏家がステージで使っている(楽器にくっつけたまま演奏している)シーンすら目にする今、チューナーの使用について口やかましく言う指導者がだんだん減ってきているのは確かでしょう。

しかしそれでも、従来のような「耳でのチューニング」を支持する指導者は多くいて、語る理由もいちいち納得できるものばかりです。

まず、アコースティックな(電気を使わない)楽器を演奏するのに、電気の助けがないとチューニングできない、という状態に抵抗感や疑問のある方は多いようです。

ある先生は、お弟子さんの発表会のエピソードを話してくれました。ステージに出てから調律がおかしいのに気づいたお弟子さんが、チューナーがないとチューニングができないので、ステージから下がって先生に「お願いします」と楽器を手渡したのだそうです。

普段、電子チューナーの使用について特にコメントしたことのなかった先生は、その日から「チューナー無しでのチューニング」の練習を全員にさせたといいます。

また、別の生徒さんは、発表会などの特別なシーンではありませんが、普段の練習時にチューナーの電池切れのせいでチューニングができなくなって、「こんなちっぽけな道具一個のせいで、楽器が弾けなくなるとは」とショックを受けたという。

さらに別の生徒さんは、レッスン日に「チューナーを忘れた」と先生に伝えたら、「大丈夫、大丈夫」とピアノを鳴らしてくれたのに、ピアノの音を聞きながらのチューニングがまったくできなかったそうです。

いつもはチューナーの画面に表示される記号を便りにチューニングしているので、耳で音を聞いても音が合っているのかどうか判断できなかったというのです。

この状態について、「音を耳でなく目で判断する……それは音楽をやっていると言えますか?」と苦言を呈した指揮者もいました。

確かにそうだなあ、と私も思います。「A(ラ)というのは、チューナーを近づけたときにAと表示される音です」では、なんだか音楽っぽくない。

電子チューナーを使うべきではないなんて言いませんが、少なくとも、チューナー無しで「も」チューニングができるようになりましょう。

楽しい弾き歌いへの第一歩です。

なにより、チューナーを使わずにサクッとチューニングできる自分になったら、楽器を自由に扱っている感覚が強まって、楽しいではありませんか。


●1オクターブ間違えて弦を切るミス

具体的なチューニングの方法は、前回の記事でご紹介した教本に載っているので、ここでは省きます。

気をつけたいのは、1オクターブ間違えて音を高くしすぎて、弦を切ってしまうミス。

私もアコースティックギターでやったことがあります。音高を1オクターブ間違えるというのは、はっきり言ってショックで、軽く自信喪失しますが、撥弦楽器は勘違いしやすい気がします(と言い訳)。

バイオリンの調律で1オクターブ勘違いなんて絶対にしないのに、アコーディオンでも遠く離れたところにある音と認識できるのに、音の性質って不思議です。

実はウクレレでも、弦を張り替えたときに「ん、まだぜんぜん低い」とペグをぐいんぐいん巻き続け、弦のテンション(張りの強さ)が異常にピンピンになってきて、「とっくに正しい音を通りすぎていた」と気づいたことがありました。

このミスが起こりうるのは、弦の張り替えのときです。

①隣の弦を頼りにざっくり合わせる
②弦のテンションを手で確かめながら音を上げていく

この2つの工夫で「新品の弦をいきなり切る」悲しい事故は防げます。

特に①については、いつも弦が張ってあるときは掃除が行き届かない部分を張り替え時に徹底的に磨きたくなって、すべての弦を外して裸状態にしたくなりますが、面倒でも一本ずつ外して、もともと張ってある隣の弦を頼りに近い音まで合わせてから次の弦の交換に移っていけば、勘違いのしようがありません。


●長めに鳴らそう

もうひとつ、チューニングのコツをお伝えしますと、音は長めに伸ばしながら、よく聞きましょう。

たとえば、5フレットを押さえて、次の開放弦と合わせるとき、同時に、あるいは順に鳴らして、長く伸びている音を聞きながら合わせます。

2つの音をピン、ピン、ピンとせわしなく繰り返すのではなく、長く聞く。

出したそばから音量が小さくなっていく「減衰音」の楽器なので、「大きい音でしっかり聞きたい」とばかりにピンピンとやりたくなるのもわかりますが、伸びている音の響きや変化をよく聞きましょう。

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ドレミファソラシドを弾いてみよう(ウクレレの弾き歌い)

●ウクレレのドレミファソラシド

チューニングができたら、音を出してみましょう。

ウクレレは弦が少ないので、入り口となる基本コードは簡単です。教本を見ながら「C」のコードを押さえてみると、「えっ、これだけ!?」と驚くくらい簡単。

1弦の3フレットを薬指で押さえて、残りの弦はすべて開放(押さえない)で、親指で上からジャラン。これで「C」が鳴ります。

簡単ですね~。

ほかに、「F」と「G7」ぐらい覚えれば、もう1曲弾ける。

ところで、1弦の3フレットを押さえて「C」を鳴らしたとき、何の音が鳴っているか、わかりますか?

答えは「ドレミ」です。いかにも基本、という感じですね。

では、もう一度「C」をゆっくり鳴らしながら、確認していきましょう。1弦の3フレットを薬指で押さえていますね。この状態で、上から親指でポロロン。

さっきは「ジャラン」だったのに、今度は「ポロロン」。1音ずつゆっくり鳴らしてみてください。

上からということは、4弦から3弦、2弦、1弦の順に鳴ります。

鳴る順に「何の音か」が言えるかどうか。

答えは、4弦が「ソ」、3弦が「ド」、2弦が「ミ」、1弦が「ド」。確かに「ドミソ」の組合せになっていますね。

この「鳴っている音」の確認が自力でできるようになりましょう。

そのために、今日は「ドレミファソラシド」を弾いてみます。


●3弦の開放からスタート

ウクレレの弦は上(4弦)から「ソドミラ」なので、3弦が「ド」ですね。

「ウクレレのチューニングはソドミラ」なんてかたまりで言われることもあります(ギターはミラレソシミ)。なんか変ですね。

弦の名称は下から1弦、2弦、3弦、4弦なので、その順に「ラミドソ」と言われたり、コードフォームの説明に「3000」なんて書かれたりもします(1弦だけ3フレットを押さえていて、あとは開放だから0)。

なのに「ソドミラ」という「4弦のほうから呼ぶ言い方」まで混在していたら、なんだか混乱しそう。

まあでも、上からジャランと鳴らすと4弦から順に鳴るので、不自然でもないでしょう。

では、ドレミファソラシドいきますよ。

まず、親指で3弦だけ開放(何も押さえない)でポーンと鳴らしてみましょう。

これがスタートの「ド」です。

では、次に1弦の3フレットを薬指で押さえて、1弦だけポーンと鳴らしてみましょう。

これが最後の「ド」です。

これだけ確認すれば、あとは耳を頼りにドレミファソラシドが弾けますか?

耳が頼りないときのために説明しますと、ウクレレやギターは「1フレットで半音」なので、1音上の音を出すには2フレッド分上がる必要があります。

「ミファ」や「シド」のように半音上がりたいときは、1フレット分上がります。

試行錯誤しながら、ドレミファソラシドにたどり着けるまでやってみてください。


●答え合わせ

では、答え合わせをします。

指使いも基本を示しますが、「何弦の何フレット」が合っていれば、どの指で押さえてもちゃんとドレミファソラシドが鳴ります。

ド……3弦の開放(0)
レ……3弦の2フレット(中指)
ミ……2弦の開放(0)
ファ…2弦の1フレット(人差し指)
ソ……2弦の3フレット(薬指)
ラ……1弦の開放(0)
シ……1弦の2フレット(中指)
ド……1弦の3フレット(薬指)

こんな感じで弾けていれば、OKです。右手は親指で1音ずつポロポロと鳴らしていきます。

下からドレミファソラシドが弾けたら、そのままドシラソファミレドと下降してみましょう。

スラスラ弾けると、なんだかこれだけで「ウクレレを弾いている」気分になりますね。

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『変な音』(夏目漱石)

●夏目漱石の短編『変な音』

共鳴のテクニックを高める朗読トレーニングに、夏目漱石の『変な音』を使いましょう。

冒頭部分をPDFファイルにしてこちらに用意したので、ダウンロードしてお使いください。

共鳴の感覚は、ある程度の高さで、ある程度の声量で長く伸ばした声であれば、捉えやすいでしょう。

ところが、普段の会話では、高さも歌ほど高くないし、声量もビンビン張り上げるわけではない。しかも、一つ一つの音が短い。

なんと、響きを捉えるための条件がことごとく厳しくなるわけです。まるで三重苦ですね。

だから、歌えばキレイに響かせられる人も、会話になった途端、なんだか響きに乏しい、生っぽい喉声になってしまいます。

でも、がっかりしないで、逆に考えましょう。「できるようになったら、多くの人にはできない特殊技能が身につく」と。

丁寧にじっくりと、時間をかけて練習するから、大丈夫です。

※声のサロンは、良い声で話せるようになる
 ボイストレーニング話し方教室です。
 日本発声協会が認定する話し方発声法の基本、
 共鳴発声法が学べます。
 平日コースと週末コースがあり、フェルマータを会場に
 月2回ずつ開催されています。

 新規に受講をご希望の方は、事務局(メイフェア)まで
 お電話(025-211-7007)ください。

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話し方と言霊(ことだま)の関係とは

●言霊(ことだま)に対する適度なスタンス

日本には昔から「言霊」(ことだま)という考え方があります。

言葉が現実になる、という思想ですね。

言霊をどのくらい強く意識しているかが、話し方に影響を及ぼします。

言霊の意識が強ければ強いほど良い、というわけではありません。

ここは最も大事なところですから、正確に読んでください。

強すぎれば迷信に縛られやすくなり、地に足のついていない、非現実的な感覚の話し方になりかねない。

「4は死、9は苦」だからと4号車や9号室を飛ばして番号を振るケースはあるし、日本社会では一定の理解も得られるものの、「し」と「く」の音を含む言葉をすべて避けたくなったら、明らかに行き過ぎでしょう。

ネガティブな印象を与える言葉や文字に過敏になって、「メロスは激○した」「王様は人を○します」のような伏字を連発するかもしれません。

良い話し方、良いコミュニケーションにつながるスタンスは、もう少し精妙なバランス感覚を要します。

次の2点に気をつけて、良い話し方を目指しましょう。

1. 「言霊」的なマイナス影響に自分は過敏にならない

受験の前に「滑る」「落ちる」といった言葉を聞いて、発言者をなじるほど本気で嫌がるとしたら、過敏です。

他人の言葉に過敏に反応している暇があったら、受験にプラスになる勉強をしたほうがどれほど合格に役立つか。

「良い意味の鈍感さ」は言葉に対しても必要です。

2. ただし「聞き手の意識には影響を与える」と知って話し方に気をつける

しかし、かといって、「滑る」「落ちる」といった言葉を気にしている人に、「そんなの気にしすぎ」「気にするほうがマイナスだよ」とばかりに「落ちる、落ちる」と連呼したら、嫌がられます。

良いコミュニケーションにならず、良い関係につながらない、ということです。

こうして発声や話し方のトレーニングをしているあなたなら、「あ、そうか。言葉に対して私が過敏なのかも」と自分の姿勢を見直そうとするかもしれませんが、世の中の人々がみんなそうとは限りません。

「嫌なことをわざと言って嫌がらせをする」としか思わないでしょう。

忌み言葉も、そうですね。

あなたがいくら「結婚披露宴のスピーチで“別れる”“切れる”と言ったからって、それが原因で別れるわけがない」「お葬式で“重ね重ね”と言ったからって、それが原因でまた誰かが亡くなるわけではない」と知っていても、コミュニケーションの姿勢として、相手の感覚や価値観を尊重できるだけの余裕がほしい。

答えは場にあり、答えは相手にあり、ですからね。

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保護中: 年末年始特別レッスン

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2018年12月29日 | カテゴリー : 声のサロン | 投稿者 : voice_salon

言葉は「投げる」のではなく、「手渡す」


●言葉は投げずに手渡す

言葉は投げてはいけません。

「会話はキャッチボール」と言われますが、文字どおりキャッチボールをイメージして言葉を「投げる」と、発声が雑になります。

特に文末の処理(フレーズの切り方)が乱暴になりやすく、声がブツッとぶっきらぼうに切れてしまいます。

投げるのではなく「大切なものを手渡しする」イメージを持って話すと、文末の声が丸くやわらかくなり、好印象を与える話し方になります。

ボールをイメージに使うトレーニングがあるので、試しに一緒にやってみましょうか。

5mぐらい離れたところにいる店員さんに「すみません」と呼びかけるとき、手にしたボールを投げつけるイメージで「すみません!」と声を出してみてください。

いかがですか。相手がビクッとするような、強くて鋭い声が出たでしょう。

次に、同じ距離にいる相手に、手にしたボールを手渡すイメージをします。

「5m先の相手に手渡すって、どうやって?」

もっともな疑問ですね。つまり「腕を伸ばして」という意味です。イメージの中ですから、なんでもありです。腕がにゅ~っと伸びて相手のところまで届き、そこでボールを「はい」と手渡すイメージで、「すみません」と言います。

今度はいかがですか? 声量も十分でありながら、やわらかく心地よく、楽に受け取ってもらえそうな声になったでしょう。

喫茶店で店員さんを呼ぶ場面で、なんだか妙に強い声が出て、まわりのテーブルの人たちに振り向かれやすいなら、こんな簡単なイメージテクニックだけで、発声を改善することができます。

近距離でも遠距離でも使えるテクニックです。もちろん発声は技術ですから何度も練習をしないと安定しません。

狙った距離に良い声を届ける練習をたっぷりしておいて、本番に備えましょう。

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新潟市で共鳴発声法の話し方レッスン
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症状別ボイスカウンセリング……低くて暗い声

【低くて暗い声】

●「気持ち高め」で話すトレーニングをしよう

声が相手まで届いたとしても、その声が低くて暗かったら、快適なコミュニケーションになりません。

なぜ声が高めのほうがコミュニケーションがうまくいくのか。

テンションの高さと声の高さが比例するからです。

ふだんは落ち着きのある理性的な人でも、好きなことを熱く語るときは声が高めになります。

どんなに抑えを利かそうとしても、ところどころに無意識の盛り上がりがどうしても出てしまう。

たとえば私は砂浜からの投げ釣りでシロギスを釣るのが大好きなので、魚が掛かったときに釣竿に伝わってくるブルブルブルッという振動の興奮を、低くて暗い声で語りきる自信はありません。

私にキス釣りを教えてくれた指揮者も、やはり同様でした。「あのブルブルはたまらないですね」と話す私に被せるように「ブルブルどころじゃねえだろう。ドーンだろ、ドーン!」と立ち上がらんばかりの勢いで、音楽家らしい情熱をもって、同じ話を何度でも飽きさせることなく語りました。

つまりは、そういうことなんですよね。楽しくてワクワクすれば、声は自然に高まる。

声が低くて暗いということは、気持ちが高まっていない証拠。だからコミュニケーションがどんよりしてしまう。

何かを提案された人が「そうなんですか」と答えたとして、その声が低くて暗かったら乗り気ではなく、高めだったら乗り気になっている、と判断できます。

自分の話し声を低くて暗いと感じるなら、ピッチ(音高)を高めて話すトレーニングをしましょう。

 

●意識的に高めて話す「声の筋トレ」

「低い声を直したい」というご相談はよくあるのですが、意外なことに「高めで話す努力」をしている人は少ない。

おもしろいですよね。笑顔が少ないと自覚したら笑おうとするだろうし、変な口癖に気づいたら減らそうとするでしょう。

なのに、「声が低くて暗い」と自覚したり指摘されたりしても、「高めのまま話し続ける努力」をしようとしない。

あたかも、会話のピッチは自分の意思ではなく勝手に決まってしまうと信じているかのように。

だから、魔法のようなアドバイスで声の高さがスパッと変わると期待しているのかもしれません。

しかし、そうはいきません。まずは意識的に高めてみてください。

「声が低い」という悩みに対して「高く出して」という回答では、答えになっていないように思うかもしれませんが、「意識的なピッチのコントロール」が入り口です。

大事なのは、一瞬だけ声を高めるのではなく、ずっと高めをキープして話し続けること。

しばらく沈黙のインターバルを挟んでも、次回に話し出すときはまた高めでスタートする。

ピッチを高めるには、声帯を引っ張る筋肉を鍛えなければなりません。

筋肉を甘やかしているから、声が低くて暗いのです。

筋トレだと思って、高めで話し続けてみてください。

甲高いほど張り上げる必要はありません。「気持ち高め」で十分です。

「気持ち高め」というキーワードを覚えておきましょう。

聞き取りやすい話し方にもなるので、一石二鳥ですよ。

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