●話し声と歌声の発声法はどう違いますか?
たまにこんな質問をいただきます。
「話し声と歌声はどう使い分けるんですか?」
「歌としゃべりは発声がどう違いますか?」
答えは、「どちらも同じ」です。
声帯の使い方、共鳴のコントロール、呼気の出し方といった発声の基本は、歌だろうとしゃべりだろうと、同じ発声器官を使う以上、同じです。
・声帯をちゃんと閉じる
・がんばりに頼らず共鳴を利用する
・喉のあたりを操作しようとせず、お腹で呼気を動かす
といった基本は、声を出す活動に共通です。
言語が違っても、発声の基本は変わりません。
「英語っぽく聞こえる発声」「いかにも中国語っぽい声」があるのは、各言語の特徴(子音が多かったり母音の種類が多かったり声調言語だったり)に影響を受けているからです。
しかし、その特徴だけを取り出して真似して「ネイティブっぽい英語」に近づけようとすると、かえって「妙なクセのある英語」になりますね。
ラジオのDJがわざと強いイントネーションと過剰な「r」の響きを出しているような感じ、といったら伝わるでしょうか。
ちょっと前のこと、こんなメールをいただきました。
本来は英語のレッスン教材だろうと日本語の朗読だろうと、発声の基本は同じ、という事例です。
昨日、英語の勉強で音声を聞いていて感じたのですが、
先生の音読と英語の音声が全く同じでした。強弱やスピードが英語の音声と同じ。
あっ、これが、話声と歌声が同じということなんだな、
とはっきり分かりました。話すように歌う。歌うように話す。
話声を練習することが歌声の練習になり、歌うことが話声の練習になる。声のサロンで学ぶことは、英語、つまりは外国語の勉強にも
つながっていることも感じました!声のレッスンは外国語を学ぶ勉強法のレッスンにもなっていて、
一石三鳥位になっています。
そうなんですよね。すべてがつながっている。
英語だからこう、日本語だとこう、というものではない。
歌だから、しゃべりだから、こういう場面だから、切り換えるというものではない。
逆に言語による影響を知って、マイナス影響を避ける発声トレーニングをするのは大事です。
たとえば日本語なら、個々の音がブツブツと細かく途切れがちで、滑らかにつながりにくい特徴があります。
だから、歌でもしゃべりでも、レガートで滑らかにつなげる練習をします。
そう、「日本語なんだから、ブツブツ切れていい」ということではない。
共通の基本を押さえていれば、声量や共鳴の乗せ方、声帯の閉じ方やお腹での支え具合といった各パラメータを調整することで、場面や状況に応じた最適な声を出すことができます。
ここが大事なところ。
状況や言語や歌や話し声で、「異なる式」を使うのではありません。
同じ式で、変数が変わるだけ。
……なんて表現したら、よけいにわかりづらいかな。
スパッと言うなら、「声はすべて共鳴発声法で出す」ということです。
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