『人は見た目が9割』とは……見た目に「声」が含まれる

●人は声が4割

『人は見た目が9割』という本がベストセラーになったことがありました。

タイトルだけ見てショックを受けたり、「やっぱりそうなの?」とガッカリしたりした人も多いと聞きます。

それどころか、タイトルに反発してか、話題にはしても読みはしなかった、という人がまわりに何人もいた、とも聞きました。

このタイトルの根拠を知れば、「見た目が9割」とだけ言われるより納得しやすいのではないでしょうか。

このタイトルは、米国の心理学者アルバート・メラビアン博士による、「人の第一印象の55%が外見、38%が声、7%が話の内容で決まる」という説、「メラビアンの法則」を根拠にしています。

「えっ、だったら見た目は55%なのでは?」と思ったでしょう。

そうなんです。つまり、タイトルの主旨は、「どんなにイイ話をしたとしても、内容が与える印象はわずか7%、つまり1割にも満たない。残りの9割は外見や話し方(声を含む)で決まる」ということなのです。

そう説明されたら、「見た目がすべてなの!?」なんてショックを受けることもなく、「まあそんなものかもしれない」と思えるのではありませんか?

それにしても、「見た目が9割」の中に「声」まで含まれていたとは、「そんなタイトルの付け方、ずる~い」と言いたくなりますが、出版社の勝利でしょうね。

 

●大事な商談があるなら声をチェック

ここで注目したいのは、「声」の影響の大きさです。

これから大事な商談、失敗できないデートがあるなら、声をチェックしてから出かけましょう。

プレゼン資料やセールストーク(内容なので7%)より、あなたの第一印象を左右するのですから。

見た目は誰でも気にします。大事な商談にジーパンTシャツで顔を出す人はいない。ビーチサンダルで行く人もいない。

仏頂面より笑顔のほうが感じがいいと知っているから、「真剣な顔か、笑顔のどちらか」で話すはずです。

しかし、「声」そのものに気を配っていますか?

いま出した自分の声が、どんなふうに相手に聞こえたか、気にしていますか?

・声が高すぎたり低すぎたりしなかったか
・声量は適切か。相手の聴覚に負担を強いていないか
・そんなつもりはないのに、不満を含んだ声になっていなかったか
・もっと柔らかく、温かみのある声にならないか

といったことを、ジーパンTシャツやビーチサンダルと同様に気にする価値があります。

なにしろ、印象の約4割は声で決まるのですから。

「見た目は55%だから、もっと大事では?」と思いますか?

確かに、第一印象に関しては見た目の割合が最も大きい。

しかし、2回目以降は急速に影響力が低下していきます。

「見た目は慣れる」からです。

「美人は三日で飽きる。不美人は三日で慣れる」などという言葉もありますが、視覚刺激に順応しやすいのは確かです。

「美人だからという理由で結婚した」ケースはたまにあっても、「不美人だからという理由で離婚した」ケースはないのだそうです。

確かに、初回にビーチサンダルで現れた相手に衝撃を受けたとして、2回目以降は「そういう人なんだ」とあきらめがつきますね。会うたびに見た目で評価が下がり続けることはない。

ところが、声(聴覚刺激)は、飽きないし、慣れない。

好きな音楽を何百回でも飽きずに聴くのは、聴覚刺激だからです。数百年にわたって聴き継がれている古典歌曲などは、まさに「声は飽きない」証拠ですね。

「声は慣れない」ほうも重要です。

ヘンな声を出していたら、「2回目からは慣れた」とはなかなか感じてくれない。ヘンな癖はずっと気に障るし、ヘンな発声にはずっと違和感を覚える。

だから、長期的に良い関係を築きたいのであれば、声と話し方を気にするのが効果的なのです。

中でも、「通る声」は重要です。

まったく同じことを話していても、しっかり通る(届く)声で話すのと、通りのよくない声で話すのとでは、印象も信頼度も違います。

あなたがこの文章を読んでいるということは、声の影響力や重要性に気づいているか、声に関心を持ち始めている、ということですね。

その姿勢は実に正しい……と発声指導者として声を大にして言いたい。

約4割ですよ。声のトレーニングをしないのは、4割をあきらめる、ということです。

4割ぐらい構わない、と思いますか?

想像してみてください。髪をちゃんとセットしてから、4割をぐちゃぐちゃに崩したら、「どうしたんですか、その髪」と心配されるでしょう。

4割のぐちゃぐちゃで、全体が台無しですよね。

皮膚の2割を火傷したら、命にかかわるそうです。4割だったら……想像するだけでも恐ろしい。

ビジネスでも恋愛でも、印象の4割を決める部分は「全体を決める」といえるでしょう。

身だしなみを整え、魅力的な提案も完璧に用意したのに、声のせいで破談になるのは本当にもったいない。

声が占める4割は、共鳴発声法で整えましょう。

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新潟市で共鳴発声法の話し方レッスン
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メール:tenor.saito@gmail.com
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