●口が弱ると老ける
「オーラルフレイル」って聞いたことがありますか?
オーラル(oral)は「口」、フレイル(frail)は「弱い、脆い」で、口腔機能の衰えを意味する言葉です。
オーラルフレイルによって、健康寿命が短くなり、将来の介護リスクも高まるとされています。
口が弱ると、老けるんですね。
口が弱れば栄養が不足し、脳や全身の筋力が衰えます。外出が億劫になって出かける機会が減り、体の不調がますます悪化していきます。
引きこもりがちになれば、しゃべる機会が減ります。会話は非常に高度な脳の活動なので、しゃべらなければ脳や心への刺激が少なくなり、意欲の低下につながります。
東京大学高齢社会総合研究機構による研究では、オーラルフレイルによって4年後の要介護や死亡リスクは、健康な人の2倍以上に高まるとされています。
怖い怖い。口を鍛えましょう。
●声を出す人は口が弱らない
日常的に高い強度で声を出す人は、長命といわれます。
毎日必ず読経するお坊さんは、長生きなのだそうです。声を出すから、口が弱らないのでしょうね。
統計学的に有意なデータが取れるほど僧侶の数が多いのか知りませんが、確かに長生きのイメージはあります。
声楽家や落語家なども、長生きなだけでなく、「頭がしっかりしている」のがわかりますね。
ご高齢でイキイキしている声楽家と話していると、ストレスに強い(ストレスをあまり受けていない)ように感じます。声を出すことで、ストレスを吹き飛ばしてしまうかのようです。
ぐちぐちとつまらないことを考えていると声に良くないので、余計なことを考えない習慣が身についているのでしょう。
昔から冗談半分に、「高音を出すテノール歌手は頭を使わない」(くよくよ考えるタイプは良い高音が出せない)といわれています。
人の脳を売買する商人が、「これは有名なテノール歌手の脳だから、高い。なにしろ未使用だから」と語るジョークがあるくらい。
声とストレス、そして健康寿命とは、深く関わっているということですね。
●声のサロンはオーラルフレイル改善プログラム
健康寿命を延ばす秘訣は、「話す、歌う」。
最近、歌っていますか?
といっても、がむしゃらに声を張り上げるだけでは、喉を傷めてしまいます。
声帯のポリープが悪化して、手術しても声が改善せずに引退する歌手もいるくらいだから、なんでもかんでも声を出せばいいわけではありません。
声帯に負担のかからない発声で、「出していて気持ちいい声」を出すのがいい。
話すときも、楽に良い声で話す。
となれば、共鳴発声法ですね。
声のサロンは、オーラルフレイル改善プログラムともいえそうです。
さあ、良い声で話し、歌いましょう。
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ウェブ:https://wsi-net.org/
メール:tenor.saito@gmail.com
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