一点集中力を高めよう……集中の持続がすべて

●一点集中力をどこまで高められるか

共鳴は、「集める」感覚が重要です。

「絞る」とも言える。

一点集中をどこまで絞れるか。

共鳴のトレーニングだけでなく、すべてのトレーニングに通ずる原理原則ですね。

ぎゅ~っと絞り込んだままでいられるか。

これがなかなか難しいんですよね。絞りがゆるんでくる。気が散ってくる。

ルーペ(虫眼鏡)で太陽光を一点に集めて、黒く塗った紙を燃やしたことはありますか?

小学生の私はこの遊びが大好きで、直径14~15cmぐらいの大きなルーペを親にねだって買ってもらって、晴れた日にはいろんなものを燃やして遊んでいました。

すごいんですよ、この巨大ルーペ。紙を黒く塗る必要がない。

光を一点に集めさえすれば、白い紙のままですぐに煙が出て、ボッと火がつく。

これがもし、光を集めないただのガラスだったら、一日中やっていても何も起こりません。

ギュッと一点に絞り込むことで、現状を打破する「貫通力」が生まれ、変化が生じるんですね。

大事なのは、「集中と持続」。

小さな一点に「集中」している状態を長く「持続」できれば、良い刺激の積み重ねになり、成長したり質的に向上したりと、成果を上げることができます。

どちらかが欠けると、積み重ねにならず、成果が上がりません。

ギュッと絞り込んだ状態を、長くキープできますか?

●絞る力は、絞る勇気

「絞る力」はきわめて重要です。

何かに取り組む方々を見ていると、大きな成果を上げる人は、「絞る力」が強い。

これは「絞る勇気」ともいえるでしょう。

「私はコレでいく」と絞る勇気が持てた人は、そこから人生が始まるかのように、良い積み重ねを始めます。

しかし、なかなか勇気が出ないんですよね。その気持ちも分かります。

ピアノを弾きながらも、「本当にピアノでいいのか」「もしかしたらほかの楽器で才能を発揮できるのではないか」と疑念を生じたり。

「絞り込んでいないのに、うまくいっている(ように見える)人」の例を考えてしまったり。

先日も聞きました。知り合いのミュージシャンが多才な人で、ピアノも弾くしチェロもできるしフルートも吹けるし、ほかにも名前を知らないような珍しい楽器をいくつか演奏するのだそうです。

「ああいう人は例外なんでしょうか。できれば私もあんなふうになりたいと思ってしまいますが、やっぱり一つに絞ったほうがいいのでしょうか」

なるほど、「一点集中していなくても、うまくやれている人がいるじゃないか」ということですよね。

しかし、見方を変えれば、やはりその多才なミュージシャンも「一点集中」しているはず。

たとえば「オレは“音楽”でやっていくことにした」と、「音楽」以外の仕事は一切考えない人生を生きる決断をしたかもしれない。

「音楽」というパッケージで捉えているから、一点集中なんですよね。

「だったら私も、“音楽”とパッケージにすれば、いろんな楽器ができるようになりますか?」

あるいはできるかもしれません。

ただ、「オレは音楽でやっていく」という覚悟は、そう気軽なものではありませんけれどね。

●それは一点集中ではありません

ただ、気をつけなければならないのは、「一点集中」と「やることを減らす」は、イコールではない、ということです。

ある物事に付随する別のことは、まとめてパッケージとして捉える必要があります。

たとえば、おいしい紅茶をいれるのに、お湯の温度、抽出時間、水質が大事だとしたら、この3つをまとめて「おいしい紅茶のいれ方」としてパッケージにして、全体で「一点」と捉えて集中すると、うまくいきます。

「お湯の温度とか水質のことはどうでもいい。私は抽出時間に一点集中で命をかける」と言って、0.1秒単位でこだわって計時しても、あまりおいしい紅茶にはならない。

一点集中はきわめて重要ですが、集中しようとして、結果的に「パッケージが欠けた」だけにならないように気をつけましょう。

●すべてのトレーニングが繋がっていますね

発声もそうですね。

「朗読に一点集中したいから、歌はやらない」では、発声技術がそこそこで止まってしまう。すべてひっくるめて「声のトレーニング」です。

「すべてのトレーニングが繋がっていますね」とメールをくれた方がいます。

実感がこもっていました。

歌のトレーニングも、朗読のトレーニングも、会話のトレーニングも、言葉のレッスンも、文章の書き方も、すべてが繋がっていると実感できたのでしょう。

朗読で良い感覚をつかむのに、歌で練習したテクニックが応用できる。

会話に悩んだとき、文章の書き方で知った型の根拠が役に立つ。

だから、すべてのトレーニングを無理なくひとつのパッケージにできるわけです。

だから歌に朗読に会話に文章に言葉に紅茶に取り組むのは、「いろいろなことをしている」のではなく、「強烈な一点集中」なのです。

「えっ、紅茶も!?」

そう、紅茶を飲む時間は、紅茶に含まれている成分からしても、心身の使い方からしても、一点集中のトレーニングですよ。

さて、ゆっくり紅茶を飲みながら、一点集中を鍛えましょうか。

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